第104話
「エイト、よく魔石を壊せたな」
ラルクはエイトのそばにドサッと座り込むとエイトの頭を撫でる。
「あっ…ごめんなさい」
エイトが謝ると
「ん?なんで謝るんだ?」
ラルクがエイトの顔を覗き込むとエイトは申し訳なさそうな顔をしている。
「僕、頑張ったんだけどどうしても魔石壊せなくて…それでカバンに収納してみたの」
「えっ?収納?」
「うん、だからまだこの中で…」
カバンをトンっと見せると
「発動中の魔石を収納か…考えた事もなかった…いや、そのカバンだから可能だったのか?」
「出してみんなで壊した方がいい?」
エイトがカバンに手をかけると
「いや!今はみんなの体力も戻ってないし…取り出した時に何が起きるかわからん。一度戻ってカズキ達がいる所でにしよう」
「はい」
エイトがホッとすると
「それと手の治療もしてもらえ」
ジャックが口を挟むと
「手?」
ラルクがエイトの手を掴むとぐいっと引き寄せる!
手のひらを見ると…
「やだ!ズル剥けじゃない!」
いつの間にかそばに来ていたダレンが一緒に覗き込んで口に手を当てる。
「お前…こんなになってなぜ言わない」
「だ、だって傷ついてるのはみんな一緒だよ…僕だけ言えないよ」
手を引っ込めて隠すようにすると
「そんな事をしたらかえってみんな心配するぞ、痛い時は痛いって言っていいんだ」
「そうよ!エイトちゃん痛いなら私がいつでも撫でてあげるわ!」
ダレンはラルクをドンッと退かしてエイトの手を取るとよしよしと撫でる。
「やめろ!」
ラルクはゾワッとするがエイトは嬉しそうにしている。
「まぁエイトがいいならいいけど…確か薬草があったよな」
「あっ!カバンに入ってるよ」
エイトがカバンに手をかけようとするが…
「いや!やめておこう。今はカバンの中がどうなっているかも分からない。当分使うのは無しだ」
「はい」
「じゃあ薬草見つけに行きましょ、そこのわんちゃん行くわよ」
ダレンは立ち上がると
「なんで俺がお前と…」
ジャックが嫌そうな顔をする。
「あら、じゃあ私がエイトちゃんの怪我を治しちゃっていいのね!採ってきた人に塗る権利があるわよね?」
ジャックはじっと考える…
ここでエイトのそばを離れないでいるか…薬草をこの男よりも見つけてエイトの傷を癒すか…
「仕様がない…行ってやる」
ジャックが駆け出すとダレンはクスクス笑いながら後を追った…
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