第11話
エイトはハッとして目覚めると周りを伺う…
隣を見るとナナミがエイトを抱きしめながら幸せそうに目を閉じ眠っていた…
(夢じゃ…なかった)
ナナミの姿に昨日の事が夢でない事にほっとする。
「ナ、ナナミ…」
エイトがナナミに触れようとして手を伸ばすがグッと堪える。
(勝手に触ったら…怒られちゃう…)
伸ばした手を寂しく下ろすと…
「おはよう…どうしたの?こんなおばあちゃんの顔は触ってくれないの?」
ナナミがそっと目を開けて微笑む…
ナナミの言葉にエイトは勢いよく首を振った。
「さわっても…いいの?」
ナナミはエイトの下ろした手を優しく掴むと自分の頬に押し当てた。
「エイトの手は温かいね」
ナナミはそのままエイトを自分の方に引っ張るとギュッと抱きしめた。
「おっ!朝から羨ましいなぁ」
カズキが扉に寄りかかりながら羨ましそうに声をかける。
「ほら、朝だぞ」
カズキはナナミとエイトのベッドに上からドーンとダイブする!
「きゃ!」
「わぁ!」
ナナミとエイトがびっくりして叫ぶと
「起きないと~じいちゃんが二人をくすぐるぞ!」
カズキは二人に向かって手をワキワキとさせながらニヤニヤと近づく!
「カズキったら!エイト!ここは二人で協力してカズキじいちゃんを懲らしめましょ!」
ナナミがカズキに向かって手を伸ばすと脇をくすぐる!
「ほら!エイトも!」
ナナミが手伝ってと声をかけると
「うん!」
エイトは小さい手で一生懸命カズキをくすぐった!
「アハハ!参った!参った!俺の負けだ!」
カズキは笑って降参だと手をあげる。
「やったわね!」
ナナミがエッヘンと喜ぶと
「エイト!」
エイトに向かって手を指し出す!
エイトはおずおずとナナミの手に自分の手を合わせた…
「ふー…しょうがない負けた俺はお姫様と王子様をリビングまでお運びしましょう…」
カズキはエイトを肩車してナナミを軽々とお姫様抱っこする。
「た、たかい…」
エイトが驚いてカズキの頭にしがみつく!
「エイト~なに男の子がビビってんだ!俺の子供だろ?このくらい大丈夫だ!」
カズキが声をかけると
「うん…だいじょぶ、カズキのこどもだもん」
エイトはこくんと頷いた…
「さすがだ!エイトは強いなぁ!」
「ふふふ…」
ナナミは幸せそうにカズキとエイトの会話を聞いていた…。
楽しく朝食を食べ終えると
「じゃあ俺は狩りに行ってくる」
カズキがマントを羽織って武器を手に取ると
「どこいくの…」
エイトが不安そうにカズキのマントを掴む。
「ん?じいちゃんは今からナナミとエイトが食べるご飯を取ってくるんだぞ」
カズキが不安そうするエイトの頭を撫でてやるが、顔色が良くならない。
「どうした?」
カズキは屈むとエイトの顔を見つめる。
「カズキ…はなれる…やだな…」
エイトは悲しそうにカズキを見つめた。
「ナ、ナナミ…エイトが可愛すぎるんだが…どうしよう!」
カズキは思わずナナミに困った顔を向ける!
「本当ね、あっならエイトもカズキと一緒に狩りに連れてってもらう?」
ナナミが提案すると、エイトの顔がみるみると明るくなる!
「うん、いっしょいきたい!」
エイトの可愛いお願いにカズキは逆らえる気がしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます