朝の散歩への応援コメント
平坦で読みやすい文章ながらも、夏の葉や土の香り、それを載せて鼻腔をくすぐる風、肌を包む涼やかな空気などが表現されていて卓越した印象を受けました。
叙述トリックも見事で、もう一度冒頭から読み返しました。
カブトムシが夜にしか外に出られないことに対して主人公が「昼間に出てきたら鳥に食べられるから」という正論を返したあと、少年が芝生に座って、つまり一拍置いて不服を述べたシーンは想像が掻き立てられます。
「僕は、つまらないと思うなぁ」の一言に、どれだけの絶望と落胆、自分の運命に対する悲哀が込められているのだろうと感じました。
他の読者の方は「命の大切さ」に着目していますが、自分はむしろ「命の残酷さ、死に対するどうしようもない無力感」を感じました。
少年は二度と人間として昼の世界を楽しむことはなく、一度きりの思い出を胸に秘めて死んでいくのだと思うと、果たしてその経験は希望なのか絶望なのか、僕にはどちらとも取れます。
また、二つ年下の弟と、名前があるものの一度きりしか登場しないキャラクターの存在意義には疑問を感じました。
素敵な小説を読めてよかったです。
ありがとうございます。
作者からの返信
圭一さんへ
丁寧に読み解いてくださりありがとうございますm(_ _)m
新たな解釈と感想を聞くことができ、とても感激しています!!
まさに男の子は昼の世界を二度と体験することなく死んでいくと思うと限りある命の残酷さや絶望感も読み取れますね。
主人公の弟の設定は、我が子が公園で早朝散歩を楽しんだりカブトムシの飼育をしていることを書きました(^^)
短篇なので一人っ子の設定でも良かったなと思いました(汗)
素敵な感想をありがとうございます!そして、最後まで二回も読んでくださりありがとうございましたm(_ _)m
朝の散歩への応援コメント
読み進むにつれ、小学生の頃の懐かしい光景を思い出してしまいます。
夏休みの夜明け前に、武蔵野の雑木林を探し歩き、カブトムシやクワガタを追っかけていた。
行方不明になった少年は、敦君が昔に飼っていたカブトムシかもしれないと、ふと思っています。きっと、寂しかったんだよなあ……。