第2話 出会い
仕事の帰りだった。
仕事場から駅へ向かう道の途中で、拾ったのだ。まるで猫のように道端に丸まって眠っていた少女を。まるで警戒していないのか、彼女はすやすやと眠っていた。不思議とそれは自然な光景に見えた。
いつもなら間違いなく無視して通り過ぎるのに、何を思ったか、僕は少女に声をかけたのだ。
「ちょっと! ねぇ、キミ。こんなところで寝ていたら風邪ひくよ?」
「ぅにゃぁ?」
少女はおかしな反応をして、ごろごろと喉を鳴らす。完全に寝ぼけていた。
「とりあえず起きなって!」
僕は彼女の肩をつかんで思い切り揺らそうとしたが、寝ぼけた少女はその腕を器用に抱え込んでしまった。それは困る。
僕は彼女の傍らに座りこんで、逆の手で肩を揺らした。とにかく起こさないと。
「キミ、家はどこ?」
僕の腕に寄りかかったまま、寝ぼけ眼の少女はよろよろ歩き出した。ほのかに酒の匂いがする。酔っているのだろうか。
そのまま、僕は彼女の家に連れ込まれたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます