椿
何かが始まる予感がするのは、花が春を知らてくるからだろう。何が見たいのかと花が唄う。それが解らない男はチュイルリー公園の温室には招かれざる客だと、その場から退出しようと足を一歩踏み出した時ーー
男は自分の性質を理解しているつもりだった。天井を眺め、再びベットに目線を戻すとさっきは見えていなかったシワが顔を覗かせた。自己のアイデンティテーが崩壊する音に男は耐えられず、古き共に相談することに決めたのだ。
全てのチェック項目が得意げに笑うとも知らずに。
ピンヒールのかかとが石畳の溝に嵌り手を咄嗟に延ばすが支えてる程の力が無い花は、一人の女と共に散った。
「お怪我ありませんか?」
口紅の赤がやけに男の記憶に刻まれた瞬間だった。
題:好きかも、しれない
・赤い椿
「You’re a flame in my heart(あなたは私の胸の中で炎のように輝く)
・白い椿
「adoration(愛慕、崇拝)」「loveliness(愛らしい)」
・桃色の椿
「A woman in love can’t be reasonable – or she probably wouldn’t be in love.(恋に落ちた女性は理性的でいられなくなる。そうじゃなきゃ、たぶん恋に落ちてないでしょう。)」
・古き友
初めての同性愛
・椿
フランスでは椿の裏花言葉/犯罪を犯す女
短編 那住錆 @a_nox_b
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