第280話
アモル教の教会において、ローザ嬢とアルベルト殿下の婚約式が行われた翌日。アモル神の力によって生み出された空間の中で、イザベラとクララとテーブルを
突然で衝撃的な情報の内容に、イザベラもクララももの凄く驚いていた。しかし二人とも俺と同じ転生者であり、歴史に関する知識がある事から、教皇の暗い欲望に呆れと失望を示しながらも納得していた。まあ、不老になりたいだの不死になりたいだの、人間として分不相応すぎる願いだからな。呆れたとしても失望したとしても、それは仕方ない事だと思う。
「アモル様は、教皇やアモル教についてどう思っているんですか?」
少し真剣な空気が緩んだ所で、クララがアモル神にそう問いかけた。クララに問いかけられたアモル神は、左手を顎へと持っていき、アモル教や教皇について考え始めた様だ。改めて考えているアモル神の様子は、普段と特に変わりがない様に見える。アモル神の表情や雰囲気から、アモル教や教皇についてどう考えているのかが、ある程度予想出来てしまう。
「正直に言ってしまうと、アモル教やその教え、それから教皇といった序列などは、人間たちが勝手に作り上げたものという思いですね」
「まあ、宗教なんてそんなもんよね」
「私は愛の神として、この国を昔から見守ってきました。ですが、アモル教を作り出して広めよとは、ただの一度も言った覚えはありません。それに、私自らが教皇に接触した事も一度もありません。勿論ですが、今代の教皇だけでなく、歴代の教皇についても同様です」
「という事は、アモル教がこの国からなくなろうとも、教皇がどうなろうとも……」
「教皇についてはどうでもいいですが、
「分かりました」
「ぜひ、協力させてもらいます」
「私も協力します。純粋に祈ってる人たちが割りを食うなんて、そんな嫌な結果で終わってほしくないですから」
クララの言葉に、俺もイザベラも同じ気持ちで頷く。前世を通して信仰心の薄い俺であるが、無心で祈り人々の為にと活動してきた善良なる人たちを、みすみす見捨てるなんて事をしたくない。そんな俺たちを見たアモル神は、何時もと変わらぬ慈愛の微笑みを浮かべる。
(イザベラとクララは、転生者だった事もあってすんなりと受け入れられた。後はマルグリットやナタリー、カノッサ公爵夫妻やジャック爺たちが、同じ様にこの情報を受け入れてくれる事を願うだけだな)
その後も、教皇が暗き闇側となった事で起こり
まず間違いなくアモル教の上層部の者たち、特に教皇の側近たちの何人かは既に教皇に協力して、色々と裏で暗躍しているだろう。その暗躍の中には、アルベルト殿下を皮切りにして進める、王族たちに対するものもあるはずだ。そして、最終的に陛下や王妃にまで手を伸ばす事は想像に
まあ最悪の場合、ラインハルト王弟殿下とレギアス殿下に丸投げすればいいから、陛下や王妃たちに関しては半ば放置でいい。陛下や王妃が暗き闇と取引したのならば、同じく取引をした教皇と同じく罰すればいい。それらの想定に関しても、カノッサ公爵夫妻やジャック爺たち、ラインハルト王弟殿下やレギアス殿下たちと話し合う必要があるな。
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