第250話
「……ウォルター。今更だが、俺たちもここにいていいのか?」
「ああ、問題ない。ジャンもマークも、ソレーヌ嬢たちと一緒に楽しんでくれ」
「俺たちも?ソレーヌ嬢やマリーだけじゃなくてか?」
「そうだ。今回は女性ものの服だけじゃなくて、男性用の服もあるそうだから、二人も気に入ったのがあれば言ってくれ。勿論、ソレーヌ嬢もマリー嬢も、気に入った服があったら言ってくれ」
「「本当ですか!?」」
「ええ、遠慮なく言ってください」
俺の返事に、ソレーヌ嬢とマリー嬢はきゃっきゃと年相応に喜びながら、テンション高く両手でハイタッチする。ジャンもマークも、喜ぶ二人を横目に見ながら、俺に向かって目でいいのかと問いかけてくる。それに対して、俺は大丈夫だという笑みを浮かべて頷いて返す。それにジャンとマークは、ほっとした様子を見せる。
まあ、ジャンとマークがほっとするのも分かる。流行の最先端の服とは言え、公爵家主導で仕立てている服だ。一着の価格に差はあるだろうが、上のランクの服ともなれば、ジャンの生家である侯爵家であっても、何十着と買い込む事は厳しいからだ。そんな高価な服を贈ってもらえるというのは、女性はどんな理由であっても嬉しいだろうし、男性の方は愛する女性の喜ぶ顔を見る事が出来て嬉しく思うだろう。
「イザベラ、準備の方はどう?」
「準備完了よ。場所も余裕を持って確保してあるから、皆が一緒に入っても大丈夫よ」
「了解。それじゃあ、皆行こうか」
俺たちが皆を先導し、少し離れた場所に用意してもらった、臨時の商店と仕立て屋となっている馬車やテントへと移動した。臨時の商店や仕立て屋に並べられている、非常に質の高い商品や服の数々を見て、女性陣だけでなく男性陣もテンションが上がる。仕立て屋に並べられている服だけでなく、商店に並べられている品々に関しても公爵家の助力があり、滅多にお目にかかれない様な品も多く含まれている。
今回選ばれた商人さんと仕立て屋さんは、カノッサ公爵家の御用商人と御用仕立て屋だ。商人さんの部下の方々は非常に優秀で、仕立て屋さんの部下の方々も非常に優秀なので、友人たちに合うものをしっかりと選んでくれる。俺は彼らの目と腕、そして人間性を心から信じている。
「皆さん、友人たちの事をよろしくお願いします」
『はい、お任せください』
商人さんたちや仕立て屋さんたちがテキパキと動き始め、友人たちからアクセサリーや服の好みなどに関して、鍛え上げられた一流の話術と、高いコミュニケーション能力でさりげなく聞き出し始める。実に自然な流れで、年下の友人たちから情報を収集し、その膨大な知識とセンスで即座に友人たちに合うものを提示していく。友人たちは、選ばれた服やアクセサリーに笑みを浮かべ、嬉しそうに自分の身体に当てて確認している。
ジャンやマーク、ソレーヌ嬢やマリー嬢も、自分たちに非常に合うものを選んでもらい、恋人同士で楽しそうに品物を確認し合っている。ジャンたちにも喜んでもらえてる様なので、招待した俺としてもほっと一安心だ。
(やっぱり一流の職人さんたちというのは凄い。どの道においても、
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