第223話
ベルトーネ男爵夫妻から、アイオリス王国を暗き闇から救った英雄の一人、聖女ジャンヌの生涯と末裔に託したかったものを受け継いだクララ。聖女ジャンヌの血に連なるクララにも、愛の神であるアモル神の
「聖女ジャンヌが授かった力と同じ力を扱える様になるには、大前提としてアモル神に認められた者でなければいけないわ。寵愛として授かった力であれど、これはアモル神の善意によって使う事が許されている力。アモル神に認められた聖女ジャンヌは、授けられた力を自由に使う事を許されていても、ただ血を連ねているというだけの私たち末裔には、授けられた力を自由に使う事は許されていない」
「じゃあ、授けられた力を使っていたお母さんは……」
「ええ、そうよ。私は既にアモル神に認められているわ」
「つまり、アモル神に認められるために、アモル教の教会に向かうという事ですか」
「そういう事です」
セラス男爵夫人の言う事は十分に理解出来る。例え親が英雄であったとしても、その息子や娘、孫やその先の
聖女ジャンヌが素晴らしい
(相手はアイオリス王国全土で信仰されている、人とは違う領域に生きている存在だ。人とは違う判断基準を、自分の中に明確に持っている可能性は高いな)
「お母さんの時は、どうやってアモル神に認められたの?」
「……一つ助言をするのなら、嘘を付いたり見栄を張る事をせずに、何時も通りの自然体の貴女でいなさい。そうすれば、アモル神はクララの事をちゃんと見てくれるわ」
「分かった」
嘘を付かず見栄も張らないでいなさいという事は、アモル神は神という格の高い存在らしく、相手の心や思考を読み取る事が出来るのかもしれないな。そんなアモル神に対して嘘を付いたり見栄を張ったりすれば、まず間違いなくクララは認められる事はないだろうというのは、簡単に予想する事が出来る。事前に得られる情報が少ないが、暗き闇と戦う際に大きな力となってくれる力を扱える様になるためにも、クララにはぶっつけ本番で挑んでもらうしかない。だが、もし何か俺たちで力になれる場面があるのならば、全身全霊でもってクララの背中を支えよう。
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