第208話
母さんは何十年ぶりの久々の王都という事もあり、暫くはカノッサ公爵家に滞在させてもらいながら、イザベラたちと交流して仲を深めていきたいと考えているそうだ。イザベラたちと色々とお話をした母さんは、イザベラたちの事を大層気に入ってくれて、本当の自分の娘たちの様に猫可愛がりしている。そんな母さんの姿に、カノッサ公爵夫妻に何か言われないかとジャック爺と共に戦々恐々していた。だがそれも、俺やイザベラたちにとって驚きの事実が判明した事により、何の問題もなくなっていた。
何と驚くべき事に、母さんとカノッサ公爵夫妻は魔法学院の同級生で、特にアンナ公爵夫人とは互いに
「まさかとは思っていたけど、本当にバルサがベイルトン辺境伯夫人だったとはね。あれから何十年ぶりの再会だけど、バルサも元気にしてた?」
「ええ、元気一杯よ。毎日忙しいけど、特に病気になる事も怪我する事もなく、夫と息子たちと一緒に楽しく暮らしているわ」
「ベイルトン辺境伯とは何時知り合ったの?」
「私は自分の腕をさらに磨くために、卒業後はベイルトンに向かったわ。そして、無謀にも魔境で鍛えようとした時に偶然出会って、必死に止めてくれたのが夫だったのよ。その時は辺境伯家の次期当主とは知らなかったし、知ったのも友人として仲良くなって結構経ってからね」
「それで、色々とあって婚約?」
「そうね、色々とあって婚約。そのままトントン拍子に進んで、式を挙げて夫婦になってベイルトン辺境伯夫人になり、夫を支えながら領地を守っているわ」
「なる程ね。何にせよ、私たちの素晴らしき友人であるバルサが、こうして幸せに生きていてくれて心から嬉しいわ。それに加えて、私たちの娘とバルサの息子が結ばれるなんて……」
「まるで運命的?あんまり運命とか好きじゃないけど、私たちの出会いから卒業、今日の再会までの空白期間を考えたら、確かに運命的と言えなくもないわね」
母さんは、カノッサ公爵夫妻との昔の学院生活を懐かしみながら、俺とイザベラたちを見てそう言う。そして、昔を懐かしんだことで思い出が色々と蘇ってきたのか、自分たちの学院時代の事を語り合う。アンナ公爵夫人と母さんが、学院時代を懐かしそうに語り合っているのを見て、本当に二人は仲が良かったんだと思った。
しかし色々と話を傍で聞いているが、学院時代は母さんもアンナ公爵夫人も、相当にヤンチャをしていた様だ。二人は笑顔で話をしているが、当時のカノッサ公爵が二人の尻拭いに奔走していただだろうご苦労や、胃痛に悩まされる日々だったであろう事が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます