第203話
イチャイチャと仲良くしながら眠りについた翌日も、イザベラたちを守護する騎士として傍で見守り、魔法学院での一日が過ぎていった。そして今日は、イザベラたちの協力者である生徒たちとの、放課後のお茶会が開催されている。参加している生徒たちの大半は女子生徒であるが、男子生徒たちも少なからずお茶会に参加している。男子生徒たちは、お茶会に参加している女子生徒たちの従者や婚約者の様で、甲斐甲斐しく世話をしたり隣で楽しく談笑したりしている。そんな中、俺たちは三人の女性と机を共にして、ゆったりとしたお茶会を楽しんでいる。ただし、この机で話している内容は、この国の社交界に大きな衝撃を与える様なものだがな。
「という事は、このまま順調にいけそうですか?」
「ええ、このまま私たちの望み通りにいきそうだわ」
「それにしても考えを急に変えるなんて、ご実家の方で何かあったんですか?」
「あったと言えばあったわね。まあ実家に何か悪影響って訳じゃないから、心配しないでちょうだい」
「簡単に言うと、アルベルト殿下たちがウォルターさんと決闘をすると言い始めた事が、お父様やお母様の考えが変わった決め手だと思います」
「俺との決闘、ですか?」
俺が彼女たちに問いかけると、彼女たちは頷いて返してくれる。何故俺とアルベルト殿下と側近たちの決闘が、彼女たちのご両親の考えを変える事に繋がったのだろうか?
「そうです。あの決闘騒ぎが起こるまで、アルベルト殿下たちはナタリーさんに関して、表立って恋愛感情を口にはしてきませんでした。しかし、……」
「今回の決闘騒ぎを起こす際に、全員がハッキリと恋愛感情がある事を口にしたんです。その事があって、私たちの両親も派閥の貴族たちも、アルベルト殿下たちが本気で言っている、本気で恋愛感情を持っているという事を認識したのでしょう」
「両親たちや派閥の貴族たちは、魔法学院の生徒会長としての義務や、この国の第一王子であり次期国王である責任感から、いじめに困っているナタリーさんを助けているという、非常に甘い認識をしていた様です」
「なる程」
「しかしそれが本物の恋愛感情であり、尚且つ婚約者である自分たちの娘が
「私たちは、幸いといっていいのか分かりませんが、三人共彼らに恋愛感情はない政略結婚でしたから。時間が経てば彼らを愛する気持ちが芽生えるかもと思っていましたが、ナタリーさんが迷惑がっているのに異常なまでに執着する姿を見て、そんな気持ちは
「私たちの両親たちからは、それぞれ婚約解消か破棄が成立するまで、後もう一押しだという報告を聞いているわ」
「だから今は、まだかまだかとその時が来るのを楽しみに待っているの」
そう言って笑う彼女たちの顔は、とても清々しい表情をしている。その様子から、本当に側近たちに恋愛感情を全く抱いておらず、政略結婚の相手としか見ていなかった事が分かる。というよりも、側近たちの行動が彼女たちの気持ちを完全に冷めさせ、男としての評価を最低ラインまで落としてしまったのだろう。だが何はともあれ、婚約解消や破棄について順調に事が進んでいるのなら、彼女たちに影響を与えてしまった俺としてはホッと一安心だ。この先、彼女たちに心から愛する事の出来る男性との出会いがある事や、そしてその先に続く幸せな未来が訪れる事を切に願う。
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