第177話
あれから順調に階層を進み続けて、一泊二日の目標地点である四十階層に辿り着いた。道中で色々な魔物から色々な肉を得る事が出来たし、昼食ではそれらを満足いくまで楽しんだ。年齢の事もあって少しだけ食が細くなりつつあったジャック爺も、結構な量の肉を食べてしまえる程に、三十一階層から先でドロップする肉は美味だった。
三十一階層から先で苦戦したのは、やはり湖や海岸線などでの戦闘だ。地上戦とは異なる感覚と敵の動きに苦労させられ、最初の内はかなり苦戦した。湖や海岸線に現れる魔物たちは、魔法の使い方も環境によって大きく変わっているので、それも苦戦の原因の一つとなった。ただこちらには一流の戦力が揃っていた事もあり、直ぐに環境に適応していき、次々と魔物を倒していける様になった。
「四十階層の階層主は、一体何が出てくるんじゃろうな?」
「私が挑戦した時は、鳥類の魔物だけが召喚されました。数の暴力で上空の制空権を取られて、動きも素早いし小回りが利くから、倒し切るのに結構な時間がかかりました」
「なる程。そういった手で攻めてくる可能性もあるの。鳥類の魔物が現れた場合は、最優先に魔法で撃ち落とす方向でいくかの」
『はい』
「そうですね。それが一番いいと私も思います」
「さっさと階層主を倒して、屋敷に戻って皆で焼肉祭りをしよう」
『賛成!!』
「ゲオルグ坊やたちも大層喜ぶじゃろう。そうとなれば、手早く済ませる事に異議なしじゃ」
四十階層の階層主として現れた魔物は、陸亀が三匹に
「一番厄介な蛇を優先して倒すんじゃ!!」
『はい!!』
ジャック爺の号令の
「鰐は俺がやる!!皆は蛇を!!」
俺は左手に魔力を集中させ、そこから魔力に形を与えていく。そして、五匹の鰐に向かって、魔力で形作った幾つもの太い
完全に口を閉じさせる事が出来たのを確認してから、再び左手に魔力を集中させて、今度は一本の巨大な魔力の槍を形作る。それを、身動きを止めている一匹の鰐に向かって放つ。巨大な魔力の槍は空気を切り裂きながら鰐に向かっていき、口を貫き尻尾まで一気に突き抜ける。鰐はそれで命の灯が消え去った様で、ピクリとも動く事はなくなった。
動こうともがいている残りの四匹の鰐たちに向けて、俺は巨大な魔力の槍を連続で放っていく。最初の鰐と同様に、一本一本が正確に鰐の体を突き貫いていき、確実にその命の灯を消し去った。
「鰐は全部片づけた!!残りは亀と蛇だけだ!!」
動きの素早い鰐を片付けたが、まだ厄介な蛇が四匹残っているし、陸亀の方も三匹無傷で残っている。蛇も陸亀も、元々生物として備わっている能力と共に、属性魔法を使って仕掛けてくる。鰐はいなくなったが、蛇の厄介さも陸亀の堅固さも変わりはしない。まずは、蛇を一匹ずつ確実に仕留めていく。
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