第37話
学業に集中する一週間が終わり、心休まる楽しい休日が始まったわ。今日はウォルターさんが屋敷に来る予定はないので、クララやマルグリット様たちを誘って、王都内の様々な場所に遊びに行く予定なの。
「こんな風に友達と遊びに行く事なんて、この世界では初めてじゃないの?」
「そうね、とても楽しみだわ。今度は学院で親しくしている子たちを遊びに誘って、皆でスイーツ巡りでもしましょうか」
「それはいいわね。憧れのイザベラに休日も合う事が出来るし、美味しいスイーツも食べられるしで、あの子たちにとっても一石二鳥じゃない」
「憧れのって言われてもね。私としては、何か特別な事をしたつもりもないし、一人一人に対して普通に接しているつもりなのよ?」
「彼女たちがイザベラの何に惹かれたのかは、正直私にも分からないわよ。それこそ、公爵家という貴き血筋に生まれた事で得た、生来のカリスマ性があるんじゃない?」
「カリスマ性って…………」
「そうは言うけれど、この世界は剣と魔法のファンタジーよ?そういった目には見えない力が、地球より働いても不思議じゃないと思うけど」
「そう言われちゃうと、何も言い返せないんだけど。でもクララの言うカリスマ性は、私にはないわよ。それは私が一番分かってるわ」
「自分の事は自分が一番分かってるってよく言うけれど、案外気づいていない事も多いって事よ。外から見た、他の人から見たイザベラには、本人が気づいていない魅力がよく分かる事もあるのよ」
「そういうものなの?」
「そういうものよ」
前世からの親友であるクララがそう言うのならば、本当に私にはカリスマ性というものがあるのでしょうね。公爵家という貴き血がこの身体に流れているお蔭で、カリスマ性という人を惹きつける力が私に備わっているのなら、今世の遠い先祖たちに深く感謝しなくていけないわね。それから、その貴き血を絶やす事なく次代に残してきたお爺様やお婆様、お父様やお母様たちにも感謝をしなくてはいけないわ。
その後も色々な話題でクララと談笑を続けていると、扉が三度ノックされ、マルグリット様たちが屋敷に到着したと報告が入ったわ。私たちは談笑を中断して、玄関までマルグリット様たちを迎えに行く。
最初に王都で遊ぼうとマルグリット様たちに声を掛けた時に判明したのだが、マルグリット様は、王都の色々な場所に遊びに出掛けるのも初めてであるし、友達と一緒に遊んで休日を過ごすのも初めてだという事だったわ。今までは、ベルナール公爵家での教育から王妃教育まで、毎日が分刻みの様なスケジュールで忙しくしていたそうよ。だから友達も出来なかったし、外に遊びに出掛ける事もなかったと語っていたわ。
そんなマルグリット様の為にも、クララとナタリーさんと相談して、どんな所に遊びに向かうかを色々と話し合ったわ。全ては、マルグリット様の王都デビューを楽しい思い出にしてもらうために。そして楽しい思い出を一つ一つ私たちと積み重ねて、マルグリット様が毎日笑顔で過ごせる様にしてあげるのよ。
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