第34話
新たな仲間を迎えた週末が過ぎ去り、私たちは魔法学院という名の戦場へと
そんなに簡単にはいかないでしょうけど、実際に行動しなければ何も変わらないからね。このまま何も行動しなければ、マルグリット様は確実に窮地に追い込まれる事になるし、ナタリーさんは殿下や側近たちに付き纏われる事になるわ。
この事についてはウォルターさんも危惧していて、最悪の事態にまでなってしまうと、マルグリット様とナタリーさんのどちらもが不幸になるかもしれないと、私とクララにこっそりと教えてくれた。その中でも私たちにとって衝撃的だったのが、死刑や追放、家に圧力をかけて逃げられない様にしてから結婚などといった内容だった。
そこまではしないだろうと私とクララは思ったけれど、ウォルターさんが言うには、この世界は乙女ゲームの世界である可能性が非常に高いとの事。そして、乙女ゲームの物語に合わせて考えてしまうと、そうなる可能性すらもあり得ると険しい顔で言っていたわ。
(ウォルターさんの言う通り、もし本当にこの世界が乙女ゲームの世界だったとしても、私たちが必ずマルグリット様とナタリーさんを助けてみせる。その為の力を、まずはこの学院から集めていく)
自分が生まれたのが、公爵家という力のある家で良かったと思うわ。それにお父様やお母様、お兄様たち家族や使用人の皆が、優しくて温かい人たちだった事も幸運だったわね。
お父様もお母様も、もしかしたら本当に王家を敵に回す事になるかもしれないのに、笑顔で任せなさいと言ってくれたわ。それにお兄様たちも、殿下や側近たちの酷い言動を聞いて、同じ男性としてもの凄く怒っていた。それに王の息子であっても、要職に就いている者の息子たちだとしても、何をしても許される訳ではないとまで言っていたわ。
そして使用人たちには、命尽きるその時まで、カノッサ公爵家に忠を尽くすとまで言われてしまった。屋敷で使用人として働く者たちは、生まれ育ったカノッサ公爵領を離れて、この王都で働いてくれているわ。だから、彼らにとって忠を尽くすべき相手は王家ではなく、自分たちを守り育ててくれたカノッサ公爵家になるとの事。なので王家と対立しようとも、身命と賭して公爵家を守ると私たちの前で宣言していたわ。
(理想は、王家が本気になる前に殿下や側近たちの暴走を止める事。それが叶わず最悪の事態になった時は、マルグリット様やナタリーさん、家族や領民の皆を守るためにこの力を揮うわ)
色々な思いを胸に抱きながら、私は戦場への一歩を踏み出した。
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