前のエピソード――第17話

　輝くプラチナブロンドのロングストレートにグリーンの瞳。どちらかというと可愛らしい顔立ちをしており、マルグリット様と同じ様にプロポーションの方も良い。外見だけで言えば、可愛らしいお姫様と言ってもいいでしょうね。まあ、実際に王家の血が流れているから、お姫様という表現も間違いではないけれど。

　対するマルグリット様はと言うと、同じくプラチナブロンドのポニーテールにグリーンの瞳。しかし、顔立ちはローラと真逆の綺麗系であり、プロポーションは抜群のお姉さま。日本で言えば、某歌劇団の男役にピッタリの女性ね。現に学院の女生徒たちの何割かは、マルグリット様の事をお姉さまと呼んでいる程なのよ。

　そしてナタリーさんはと言えば、ブラウンのショートボブにブラウンの瞳をした、男顔の綺麗系な顔立ちをしているわ。彫が深く目鼻立ちがハッキリとしていて、ザ・芸能人といった感じのクールビューティ―な美人さん。プロポーションに関しても抜群なのは間違いないけれど、マルグリット様に比べると、お胸様が少しばかり小さいわね。

　そんな事を思った瞬間、ナタリーさんがギロリとした視線で私を見て来た。なので私は、自分のお皿からスフレパンケーキを一枚、ナタリーさんのお皿へとスッと移動させる。すると、厳しかった視線が和らぎ、何時ものナタリーさんに戻ってくれた。無事に事なきを得た事にホッと胸を撫で下ろしていると、何時の間にやらマルグリット様とローラの雰囲気が険悪になっているわね。

「お姉さまこそ、いい加減ナタリーさんを苛めるのは止めてくださいな。栄えある公爵家の者が、そのような低俗な真似をしているなどと知られたら、いい笑い者ですわ」

「私とナタリーさんは仲の良いお友達なの。そんなナタリーさんに対して、苛めた事もなければ嫌がらせをした事もないわ。ローラ、貴女こそいい加減にしてほしいわね」

「何をいい加減にするというの？」

「その、何でもかんでも私がやったかの様に触れ回る事よ」

「何を言っているのよ。全部本当の事じゃないの」

「はぁ～」

「何よ、その態度は⁉私はお姉さまの事を思って……」

「何が私の為を思ってよ。全部自分の為でしょうが」

　ローラの言葉に対して、マルグリット様が小さく呟く。ローラには聞こえていなかった様だが、私たちには聞こえている。そのままローラが、マルグリット様へと一方的に難癖を付けている。努めて冷静に会話をしているが、マルグリット様のフラストレーションが徐々に溜まってきているのが分かる。このまま会話を続けていると、本当に爆発してしまう可能性があるわね。

　それを感じていたのは私だけではなく、クララやナタリーさんも感じとっていたみたい。特にナタリーさんは、自分の存在がこの騒動の発端の一つであるという事から、この場を静ようと二人の会話に口を挟もうとする。

　しかしその時、この口論の場に新たな者たちが乱入してきた事で、さらに場が混迷していく事を確信したわ。