第13話新入生交流会(9)
「他に質問のある者は……いないようだな。では、早速だが今から1時間、好きなように交流を深めるがよい」
周りを見渡し、手を挙げている生徒がいないのを確認した学園長は1度手を叩き、交流の合図を送った。
それと同時に皆が交流を図ろうと一斉に動き出す。
「さて。学園長の合図もあった事だし、可愛い女の子との交流を深めようではないか!」
目を輝かせ気合を入れる池明太。
「ああ!行こうぜ!!俺達を待つ女の子達の元へ!!」
右腕を掲げ、力強く握る。
制服をまるでマントを羽織っているかの様にたなびかせ、行動に移す。
「やぁ。俺と交流しようぜ。可愛い天使ちゃ……」
言い終える前に池明太から離れていく女子生徒。
その向かう先はイケメンクラスの男子生徒が集まる一帯。
「……………」
無言で立ち尽くす池明太。
微動だにしない。
「………だ、大丈夫か…?」
池明太の寂しそうな背中に向けて声をかける上白糖。
「…………あぁ…。ま、まだ始まったばかりだから。多分、俺の声が聞こえなかっただけだから。大丈夫大丈夫」
「…そ、そうだよな。きっとそうに違いない。次だ!次!!」
励ましの言葉で池明太をフォローする上白糖。
「よしっ!!次はあの女の子と交流だ!!」
気持ちを無理やり切り替え、次なる標的の女の子ぬ狙いを定め、近寄っていく。
「やぁ。君、可愛いね。俺と交……」
再び無言のまま離れていく女子生徒。
まるで視界にすら入っていないかのように。
「…………なぁ……」
振り向かずぽつりと言葉が聞こえてくる。
「………なんだ?」
「……交流……出来ないんだが……」
「……………」
どう返答すればいいのかわからず押し黙る上白糖と渉。
「………見てみろよあれ……」
池明太は前方を、指さす仕草を見せる。
その指を指す方向に視線を向ける上白糖と渉。
「………何かに吸い寄せられるかの様に女の子達がイケメン男子生徒の元へ行ってるんだが…」
「……………」
無言でその光景を見つめる上白糖と渉。
「……そして俺達はどうだ?引き潮の様にザザザッと離れて行くんだが…。あれか?ここは海岸か?潮の満ち引きか?」
聞こえてくるのは池明太の涙声だった。
「……………」
上白糖と渉はただただ、無言のままその場から動けなかった。
顔面格差から始まる成り上がり ゆずどりんこ @yuzudorinko
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