第9話新入生交流会(5)
池明太は、地面に崩れ落ちている上白糖に手を差し伸べ、引っ張り起こす。
すると後方から池明太達に声を掛ける男子生徒が現れる。
「…見てたぜ。夢を叶える為、自分がブサイクだと認識し、尚、美人クラスの女子生徒に恐れず立ち向かうお前の姿勢に敬意を表するよ」
黒縁眼鏡をかけた天然パーマの男子生徒が開放されている体育館の扉を背に顎に手を当てたダサいポーズを決めながらこちらに視線を向けている。
「…お前が誰かは知らないが、良く分かっているじゃないか。見所があるな、お前」
上白糖は、黒縁眼鏡をかけた男子生徒に近付き、笑顔で握手を求める。
そしてその手を力一杯握り返す黒縁眼鏡の男子生徒。
それは友情が芽生えた瞬間でもあった。
「ふ…。無論だ。彼女持ちの俺が認めたのだからな」
「なっ!?お前、彼女持ちなのか!?」
衝撃の言葉に驚愕する。
「ああ。俺にかかれば、どんな女の子だろうと華麗に攻略してみせるよ」
「おおっ!!マジか!?どうやったら彼女をゲット出来るか教えて下さい師匠!!」
上白糖は、縋り付く勢いで恥もプライドも捨て去り懇願する。
そのやり取りを池明太はある単語に違和感を覚えたのか顎に手を当てて、考え込む。
そんな行動に気付いた美春が池明太に声をかける。
「…どうしたのよ?何かあったの?」
「……お前は何も感じなかったのか?」
「?どういう事よ?」
「…いや、何て言うか、あれだあれ。さっき、黒縁眼鏡が言った言葉が何か引っかかっててな。違和感があるっていうの?」
何とも要領を得ない言い回しで答える池明太は、違和感の正体を掴もうと思考を巡らせる。
「違和感?私は特に何も感じなかったけど。あの、黒縁眼鏡君に彼女がいるって事に嫉妬してるんじゃないの?」
「…最初はそう思ったよ。だけど、何かが違うって言うか…。いや、違うと言うか、それに近い何か…それに関係してるって言った方がいいのか?まぁ、そんな感じなんだが…」
頭を捻りながら可能な限りの言葉を総動員し、説明する。
しかし、やはりまだ確信に辿り着けないでいる。
だが、その違和感の正体が二人のやり取りで解明される。
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