第8話新入生交流会(4)


「「じ…上白糖ーーーッ!!!」」


少女漫画から抜け出たかの様な容姿のイケメンが上白糖の首にエルボーを叩き込み、その衝撃で無惨に吹き飛ばされ地面へと崩れ落ちる上白糖に涙を流し、叫びながら駆け寄る池明太と渉。


そのような衝撃的展開を他所に女子学生に爽やかな笑顔で近寄るイケメンがキザなセリフを呟く。


「大丈夫かい?僕が側にいるからもう安心して」


「あ、はい!!助けてくれてありがとう聖也くん!!」


キラキラと光り輝く瞳をイケメンに向けながら頬を真っ赤に染める女子学生。

二人の周りにはピンク色の背景すら見えてしまう程のオーラを放っていた。


その頃、上白糖はというと、数分間の意識不明の状態から奇跡的に現実世界へと帰還を果たす。


「…う……」


呻き声が漏れると同時に閉ざされていた瞼をゆっくりと開ける。


「大丈夫か上白糖!?傷は浅…くはないみたいだが!!無事か!?」


「…明太…か…。俺は…いったい…。俺の身に…何が起きた…んだ…?」


目を覚ましはしたが、上白糖の瞳は死んだ魚な様な光の消えた瞳をしていた。


「……エルボーだ」


「…え…?何だって…?」


「お前はイケメンクラスの男子生徒と思われる…いや、間違いなくイケメンクラスの男子生徒だろう奴から刹那な動きでお前の首元に渾身のエルボーを叩き込まれたんだ。覚えてないのか?あの一撃を…」


上白糖の身に起こった疑問に池明太は余す事なく事の顛末を教える。


「……そうか…。首元に渾身のエルボー…か…。して、奴の名は…?」


池明太の言葉を反芻しながら呟く上白糖は、そのエルボーを叩き込んだ容疑者の素性を問いただす。


「…確か、聖也とか言ってたな。女子学生が」


「ああ。俺にもそう聞こえたな」


池明太が渉の方に視線を向けイケメン男子生徒の名前を確認すると、渉もそれに同意するかのように頭を縦に振る。


「…聖也…か…。如何にも少女漫画のいけすかないイケメン主人公かよって名前だな…。だが、覚えたぞ…奴の名を…」


自嘲気味にポツポツと言葉を吐く上白糖。

しかし、最後の言葉だけは執念じみた声を発していた。


「…必ず奴に…復讐する…。どんな卑怯な手を、手段を用いても…奴だけは…必ず…」


「…そ、そうか…。俺たちも協力するよ…」


メラメラと負のオーラを撒き散らし復讐を果たすと公言する上白糖に池明太と渉はその復讐に協力するとしか言えなかった。




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