第5話新入生交流会

担任教師の奇跡の嫁をまざまざと突きつけられた池明太一同。


しかし、担任教師の一言で現実へと引き戻される。


「話は脱線したが、取り敢えず自己紹介な。俺は清水昇だ。今日から一年お前らの担任教師を不覚だが務めることになった。で、時間も無いし手短に連絡事項を言うから聞いとけよ」


誰もが『不覚』という一言は余計では?と思ったが、連絡事項について耳を傾ける。


「今日は登校初日だから授業は明日からだが、この後体育館で新入生交流会がある」


「新入生交流会?」


「あぁ、新入生同士仲良く高校生活を送ってもらう為に交流会を行っている。1人でも多く友達が出来た方がお前らも嬉しいだろ?」


「まぁ、そうですね。取り敢えず美人クラスの女の子とお近づきになるチャンスの場があるのは単純に嬉しいな」


上白糖がまだ見ぬ幻想を思い浮かべながら締まりのない顔を露呈している。


「そんなチャンスが来るかはわからんが、まぁそう言う事だ。って、ちょうどチャイムが鳴ったな。じゃぁ、速やかに体育館に集合する様に」


哀れみの表情を浮かべながら説明を終えるのと同時に終業のチャイムが鳴る。

そして清水先生は連絡事項は全て終えたというように教室を後にする。


「新入生交流会か。可愛い女の子に出会える。告白、付き合う、イチャイチャ、ゴールイン。…ふ、見える。見えるぞ。これから俺に訪れる恋の物語が!!」


池明太が妄想の世界へと旅立つ。

それに続く様に上白糖も妄想の世界へとダイブする。


「おい、妄想するなとは言わないが、早いとこ体育館に移動しようぜ」


身長170センチ程の茶髪のツンツン頭をした男子生徒が妄想の世界に旅立った二人を現実世界に引き戻す。


「…ん?ああ、そうだな。行くか、渉」


「渉?二人は知り合いなのか?」


池明太は上白糖と渉を交互に見る。


「ああ。中学が同じでな。それからの付き合いだ」


池明太の質問に上白糖は肯定する。


「初めましてだな。小林渉ってんだ。渉でいいぜ。宜しくな池明太」


爽やかな笑顔を向けながら右手を差し出し握手を求める渉。ブサイクだけど。


それに応じる様に池明太も差し出された右手に自分の手を重ねる様に握りしめる。


「ああ、宜しく渉。俺の事も池明でいいぞ」


「いや、『も』じゃないだろ。普通にそこは『池』か『明太』じゃね?』


「違わないよ。大切な事なんだ。『池明』と『明太』呼び。どちらが俺に相応しい呼び方か考えるまでもないだろう?」


流し目で問いかける池明太。ブサイクだけど。



「………どうでもいいよ。」


めんどくせぇ奴だなと心の中で思う渉であった。


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