第8回 ヴェノム/劇場版シティハンター新宿Private Eyes

雷華:Twitter:rairai345

JUMP漫画の主人公だと『封神演義』の太公望が好き。アニメなんて無かった。

アマゾンプライムビデオ。


小城:Twitter:ogisaburo

好きなJUMP漫画の主人公は『SLAM DUNK』の桜木花道。アニメのEDの「世界が終わるまでは…」も好き。

Hulu。


・ヴェノム

 自己中心的だが厚い正義感を持つエディ・ブロックはホームレスを利用した違法な人体実験をしているライフ社を告発するためにCEOであるカールストン・ドレイクに真実を迫るも、彼からの圧力で職を失う。彼に巻き込まれる形で恋人も職を失い、そのことから婚約を解消、仕事と恋人を同時に失い落ちぶれる。だが、ライフ社の内部告白者から協力を得たエディは再び社の研究室に侵入。そこで偶然にも実験体にされかけていた友人を救うために手を出すも、それにより地球外生命体「シンビオート」に寄生されてしまう。

 シンビオートの凶暴性に苛まれ、自分自身をコントールできなくなる恐怖に怯えるエディであったが、同時にその力に魅了されていく……。


小城「めちゃくちゃ面白かった。これは好き」

雷華「面白かったでしょう?」

小城「事前に言われてた『ヴェノムが可愛い』ていうのもよく分かった」

雷華「でしょう(ドヤ顔」

小城「ヴェノムに対して思ってた印象がヴィランとして、汚いというか……たとえて言うと『ジョーカー』のような映画だと思ってたんだけど」※1

雷華「わかるわかる」


 ※1

 ジョーカー……バッドマンに出てくるヴィラン。善悪共にスーパーパワーを持つ存在が数多く存在しているアメコミの中でも、バッドマン共々、特殊な力を持たずに頭脳で戦う珍しいキャラクター。狂気に染まっており、一般人からは理解しがたい思考を持つものの、復讐者としての一面を持つバッドマンとは表裏一体の存在であり、ある意味では最大の理解者ともいえる。そんなバッドマンとの関係性も相まって、アメコミ屈指の人気キャラクター。

 ヴェノムと同じく単独映画化もされており、そこでは悲劇的な理由から狂気に染まりヴィランへと変わっていく姿が描かれた。ここでいうジョーカーとはその単独映画のことを指す。


小城「そうじゃなくて、むしろ『デッドプール』に近かったね」※2

雷華「そういう勘違いをもって最初に見てほしかったのよね、この映画(笑」


 ※2

 デッドプール……マーベル社のコミックに登場するヒーローの一人。癌に侵された体を治療するために参加した実験で驚異の再生能力を得るもそれにより癌細胞が変異、顔が焼け爛れたように変化してしまう。このことから狂気に染まった彼は特殊能力を持った傭兵として生きることになる。一応ヒーロー側に属しているものの、善悪にこだわらないトリックスター的な存在であり、あるシリーズではマーベルヒーローを皆殺しにするなど破天荒な展開が多い。また、数多く存在するヒーローの中でほぼ唯一、第四の壁を認知しており、読者に向かって話しかけるなど、特殊なキャラクター。今作のヴェノムの宿敵であるスパイダーマンとも(一方的に)仲がいい。

 こちらも単独映画が2作作られている。過激なシーンも多いがコメディ色の強い映画で、彼の最大の特徴である第4の壁を認知していることもしっかりと再現されている。先述のジョーカーと同じく、ここでいうデットプールもその単独映画のことを指している。


小城「ヴェノムって『ジョーカー』みたいな話だと思ってみてみたら『デッドプール』だった(笑」

雷華「二人の掛け合いが面白いんだよね」

小城「途中からヴェノムが適応していく過程もわかるように情報が小出しにされてるのもよかったね」

雷華「ヴェノム自身が憎めないキャラクターになっていくんだよね」

小城「明確な弱点が提示されるから、ヴェノムの弱点というギミックとして要所で作用してる」

雷華「キャラクターの設定の使い方が上手いよね」

小城「途中で寝取られを見せつけられたのは何だったのかと(笑」※3

雷華(笑)

小城「主人公、ヴェノムにとりつかれると同時に脳も破壊されてないか、て(笑」

雷華「完全に寝取られ脳破壊の展開なんだよね(笑」


 ※3

 ヒロインのアン・ウェイングはエディの元婚約者であるが、彼が起こした騒動により弁護士事務所をクビになっており、それがきっかけで婚約破棄をしている。半年後には医者であるダン・ルイスと付き合っており、エディと再会したときは既に同棲もしていた。そのことを知ってしまったエディはショックを受けるのだが……。作中ではエディに対してまだ好意を持っているようだが、ダンとの交際を続けるという終わり方。

 余談だが、このダン・ルイス、他の映画では嫌われ者的なキャラクターになりそうな立場だが、シンビオートに寄生されたために錯乱状態になってるエディがレストランで奇行をとってもフォローしてあげたり、体調を崩す彼を親身になって治療しようとするなどこの映画で一番の善人と言っても過言ではない。


小城「ヒロインがちょっとビッチというか、『ヒロイン可愛い』では見れない(笑」

雷華「なんだかんだ言って、ヴェノムが悪役になり切れないというか、いろんな制約があるから自重せざるえない状況になってて、それが憎めなさにつながるんだよ」

小城「そうなんだよ。だから本当にいいバランスで作られてる映画」

雷華「ヴェノムが憎めないキャラクターだから、なんだかんだで安心して見れるんだよね」

小城「喋れるようになってからが本番だと思う。それまではサスペンス調のミステリーみたいな展開だけど、喋り始めてからエディとのやり取りでキャラクターが見えてくるから、親しみやすさが生まれてくる」

雷華「ヴェノム自身はダークヒーローのポジションなんだけど、彼自身に可愛さがあるから、雰囲気が重たくならないんだよ」

小城「面白さの曲線が終盤に連れて上がっていくから、退屈しないしダレないから上手くできている映画だと思う」

雷華「最初のサスペンス調からのギャップもうまく作用してるんだよね。広告も『最凶最悪のヴィラン誕生!』みたいな売り方をして、見る側を構えさせて、いざ見ると親しみのあるキャラクターで好感を持たせるのも上手かったね」

小城「主人公だけが会話できる相棒は日本のコミックでもよく見る王道だからね。皮肉を言いあいながらも関係を進展させて戦っていくのはある意味、少年漫画的な面白さもある」

雷華「日本人的には親しみのあるパターンなんだよね。一見悪そうなやつに憑りつかれたんだけど、共闘する形になって、仲良くなっちゃう、みたいな」

小城「仲良くはなってないけど、最近だと『呪術廻戦』とかがそうだよね。一番近いのは『NARUTO』かな?」

雷華「そうそう、日本のテンプレに近いから親しみがあるんだよね」

小城「巨大な悪を体の中に入れて、会話していくとミカルな部分が見えてくるのはNARUTOの九尾がまさにそれだね」

雷華「結局、宿主が死んだらそいつも困るから力を貸さざるえない、ていうね。そうやって共生していくうちに、かわいらしい部分が出てくる」

小城「最初から可愛いものとして描いちゃったのは電王が悪い例かな」※4

雷華「あっちは最初からコミカルだったからね」


 ※4

 仮面ライダー電王……2007年に放送された仮面ライダーシリーズの一つ。仮面ライダーが電車に乗ることで話題になった。主人公である野上良太郎にイマジンと呼ばれる怪人、モモタロスが憑りついたことで仮面ライダーに変身して戦うこととなる。今回は悪い例として挙げているが、作品自体はコミカルさの中にあるシリアスさや、お伽噺をモチーフにした四人の仲間イマジンの掛け合いなどが、子供だけではなく老若男女にウケて大ヒット。主演の佐藤健が超売れっ子俳優になってしまったが、後の作品でも客演回数が非常におおい。


小城「俺はまだ見てないけど、リバイスはどうなの?」※5

雷華「あっちもコミカル寄りかな……でも、信用できない存在、という描写はあるぐらい」

小城「ダークな部分で溜がないのはもったいない、て感じるんだよね。ただ、電王もリバイスも仮面ライダーは子供向けが大前提だからあんまりそういう側面を出せないのはあるんだけどね」

雷華「どうしてもね」


 ※5

 仮面ライダーリバイス……2021年から放送中の仮面ライダーシリーズの一つ。自分の心から生まれた悪魔と契約した五十嵐一輝は、その力を借りて悪魔たちと戦う。

 一輝と契約した悪魔バイスは登場するなり、彼の家族を食べようとするなど、凶暴な一面を見せるも、一輝と命を共有しているために逆らうことができない。そういう意味では今作のヴェノムに非常に近い存在。


小城「バディ物としての、相手を認めるまでを二時間でしっかりとまとめたのは凄いよね。どこに着地させるのか、が上手かった」

雷華「塩梅がいいんだよね。ヴェノムというか、シンビオートの恐ろしさをちゃんと描いている」

小城「対人戦では無敵なのに、同じシンビオート相手になると『あいつに勝てるわけないだろ!』て言ってるのが面白い(笑」

雷華「そういうところも人間臭いんだよね」

小城「結局最後は実力で勝つんじゃなくて、相手を弱点でぶちのめすだったからね」

雷華「そこらへんはアメコミっぽかったね(笑」

小城「ヴェノムがちゃんと自分にできることを弁えたうえで行動してるのが、キャラが立ってて面白い。人間相手には強気なのに、同族だと弱気になる。でも力を貸してくれるのがいいよね」

雷華「ヴェノムはヴェノムで生き残りたい、て気持ちが強いからね」

小城「で、EDでコミカルなダークヒーローとして描かれるのが、ヴィジュアルから感じてた第一印象がストーリーで上手くひっくり返って良かった」

雷華「バランスがいい映画なんだよね」

小城「俺は好きだな」

雷華「続編もね、近々、公開される予定なので」(21年11月14日現在)

小城「続編を映画館に見に行ってもいいな、て思った」

雷華「でしょー!(嬉」


 久しぶりに高評価を受けてテンションが上がっている雷華。


小城「ヴぇノムを見たってことは旧作のスパイダーマンを見れるのかな?」

雷華「えーっとね、旧作スパイダーマンの最後に出てくるんだけど、ファンからの評価はあまりよくないです」

小城「そうなの?」

雷華「プロデューサーが無理やり登場させたのもあってあんまりキャラを上手くつかめてないんだよね」

小城「トムホスパイダーマンが見たし、ヴェノムも見たし、旧作を見てもいいかな、て思ったんだけど」

雷華「旧作もアメイジングも、どちらも面白いから是非、見てほしい。スパイダーバースは見たんだっけ?」

小城「友達と一緒に見たよ」

雷華「あれも面白かったね」

小城「中村スパイダーが良かった」

雷華「あれも2が決まってるんだよ」

小城「スパイダーマンは作品数をみるとアメリカでもトップクラスに人気の作品だよね」

雷華「スパイダーマンはアメリカでもかなり人気だね」

小城「初期、アメイジング、MCU、スパイダーバースと作品の広がりがすごいよね」

雷華「アメコミの中だと数少ない、若者のヒーローって部分もあるしね。だからか広い人気があるんだよね」※6

小城「『親愛なる隣人』っていうキャッチコピーはヒーローらしくないんだけど、活躍を見てると納得ができるんだよね」


 ※6

 アメコミのヒーローはお国柄なのか基本的に大人のヒーローが多く、成人しているキャラが数多くいる中で、スパイダーマンは15歳でヒーローになった設定。比較的少ないというだけでティーンエイジャーのヒーローは他にも数多く存在している。また、最近では20歳になってたり、必ずしもティーンエイジャーというわけではない。

 確固たる信念をもってヒーロー活動をしている成人ヒーローに比べて、若いがゆえに時に悩み、苦しみながらも戦う彼の姿は人気が高い。小城が言ったキャッチコピーは彼が人を助けるときに言う「あなたの親愛なる隣人、スパイダーマン」というセリフが元。これは、スーパーパワーを持っているが、精神はごくごく普通の人と変わらない、ということを示している言葉。


雷華「今回のヴェノムもMCUのスパイダーマンもだけど、スパイダーマンの明るい作風を表現してるのがいいね。初代もアメイジングも、ベンおじさんが死ぬ下りをやる関係もあって、どうしても作風的にシリアスによりがちなんだよね」※7

小城「これまでの作品はダークな作風によりがちなんだね」

雷華「ベンおじさんが死ぬ下りがあるからどうしてもシリアスに傾きがちなんだよね。MCUはそこら辺をバッサリカットして、スパイダーマンのフレッシュさというか、幼さを表現したのは良かったよね」

 

 ※7

 ベンおじさん……スパイダーマンに変身するピーター・パーカーの保護者。スーパーパワーを手に入れて調子に乗ったピーターの油断で強盗(作品によっては違う人物になることも)によって殺されてしまう。死ぬ間際に彼がピーターに残した「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉は彼がヒーロー活動を行う上での大きな指針となる。


小城「MCUの今後も楽しみなんだよね。エターナルズはこれからだっけ」

雷華「もうやっている」(11月14日現在)

小城「見なきゃいけない、とは思ってるんだけどな」

雷華「俺はエンドゲームで推し二人が退場してしまった傷が言えてなくてそれ以降の作品を見れてないんだよね」


 ネタバレになるので伏せますが、個人的に最推しの二人が退場しました(悲


小城「ドラマシリーズの方はワンダとファルコンは見たな。ロキはまだ見てない」

雷華「ロキは人気が高いよね。第2シーズンも決まってるらしいね」

小城「ていうか実はソーをしっかり見てないから……」

雷華「なんだと……!」

小城「ソーとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはタイミングが合わなくて見てないんだよ」

雷華「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは君は絶対に好きだと思うよ」

小城「キャプテンアメリカも1作目しか見てないな」

雷華「シヴルウォーも?」

小城「シヴルウォーは見てるよ。アベンジャーズは全部見てる」

雷華「シヴルウォーはアベンジャーズじゃなくてキャップの映画だよ!(笑」

小城「あれほぼアベンジャーズじゃんか」


 キャップテンアメリカの映画ですが、ほぼほぼアベンジャース3.5と言われている。


雷華「一応あれはキャプテンアメリカの完結編なので……完結しなかったけど!(笑」

小城「あれ完結編だったら酷いでしょ、キャプテンアメリカの完結はエンドゲームだよ」

雷華「キャプテンアメリカとアイアンマンはエンドゲームが完結扱いになるよね」

小城「ちょっと話がずれたけど、アメコミのヒーローものってそういうクロスオーバー的な展開を期待しちゃうよね。だから、ヴェノムもMCUに出てほしいよね」※8


 ※8

 調べてみると実はヴェノム自体はソニーが展開するソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SS)というスパイダーマンに登場するキャラをメインとしたシリーズに属する作品となっている。ただ、ソニー側はMCUとのクロスオーバーには積極的で、本作のラストにもMCUのスパイダーマンを登場させる予定で撮影もされたらしいが、カットされている。関係者からもクロスオーバーを匂わせる発言はあるようだが、はっきりと明言はされていない。

 ただ、脚本家からはMCUとは隣接する作品と言っており、向こうのスパイダーマンとは世界観を共有しているとも関係者が発言しており、限りなく近い世界観のようだ。MCUのスパイダーマンの三作目の作中でなにかしら発表があるようだが……?  

 どちらにせよ、ソニー側もマーベル側もファンの気持ちは理解しているようで、前向きに検討はされているようだ。


雷華「MCUが面白かっただけにね」

小城「俺的映画点数では75点ぐらいかな」

雷華「マーベル物のヒーローはやっぱ安定してるな」

小城「打率が高い(笑」



・劇場版シティハンター新宿Private Eyes

 新宿を拠点にするスイーパー(掃除屋)である冴羽獠の元へ、モデルを兼業する医大生・進藤亜衣がボディーガードの依頼にやってきた。父親が亡くなってから何者かに狙われている彼女を護衛する彼らは、その途中で獠のパートナーである槇村香の幼馴染、御国真司と出会う。真司の猛烈なアプローチに心を揺らす香。一方で亜衣を狙うテロリスト集団から彼女を守る獠とのすれ違いも生まれていく。だが、亜衣を狙う組織の背景には真司がCEOを務めるドミナテックが深くかかわっていた。


雷華「面白かったね」

小城「面白かったというよりは『シティハンターを見た』て感想にならない?」

雷華「そうだね(笑」

小城「面白い映画を見たというよりは、久しぶりにシティハンターみたな、て気持ちになる」

雷華「やっぱりね、年齢的に世代だからさ、ああいうキャラクター像に弱い(笑」

小城「シティハンターのテンプレを外してないんだよね」

雷華「普段は三枚目だけど、やるときはやるっていうキャラクターはやっぱ好きなんだよ」

小城「世代だよね、毎回、美女がヒロイン役として登場するんだけど、ハーレム展開にはならない」

雷華「なんだかんだいってヒロインが一番を大切してる」

小城「ヒロインのことは大切にしてるけど言葉にはいわない、けど最後はヒロインをしっかり持ち上げる」

雷華「もうテンプレなんだわ、大好きこういうの」

小城「最近の作品だと、どちらかと言えばヒロインが主人公に好意を持ってるのをわかりやすく描いてるけど、これは匂わせながらも最後に主人公がヒロインに対する想いを出すのがいいんだよ」

雷華「主人公があえて言わないんだよね」

小城「あくまで態度で示してるんだけ」

雷華「この時期の主人公あるあるなんだけど、本命以外の女の子にはデレデレするんだよね。本命には絶対にデレデレしないんだけど、一番大切にしてるのは本命なんだよね」

小城「最愛感情を見せるのは最後にしか見せないし、おくびにも出さないし、言葉にもしない」

雷華「いやぁ……好きだわ」

小城「めちゃくちゃ格好いいんだよな」

雷華「リメイクっていうか復刻っていうか、こういう映画はちゃんと当時の作品の雰囲気を保つのは大事なんだけど、できてない作品も多いんだよね。アップデートのやり方がうまくなくて、そうなるんだと思うんだけど」

小城「リメイク作品って定期的に出るんだけど、しっかりと原作を再現してるのは中々、見かけないんだよね」

雷華「最後に『Get Wild』を流すところとかね(笑」※7


 ※7

 Get Wild……TM NETWORKの楽曲で初代アニメ『シティハンター』のEDテーマソング。非常に有名な曲で、アニメではこの曲のイントロを聞きながら締めるのがお約束となっている。ニコニコ動画などでも他のアニメと組み合わせたものが作られたり、カラオケでも常に上位に食い込むなど、高い人気を誇っている。


小城「あそこ格好良すぎるんだよね、『ああシティハンター見たわ』て満足しちゃう」

雷華「あそこでねタイアップ曲じゃなくてちゃんとGet Wildを選択したのは正しい」

小城「『昔見ていた人のために作りました!格好いいでしょう?』アピールがすごいんだよね」

雷華「『これだよこれ!』てなる(笑」

小城「俺たちにとって、格好良く締めた後のGet Wildはルパン三世のOPと一緒なんだよね」

雷華「それが無いと物足りないんだよね」

小城「評価を見ずにこれをみたんだけど、『ちゃんとシティハンターみたな』て気持ちになれた」

雷華「事件の背景に人情的な話があるのもっぽいんだよね」

小城「香の過去とかにも触れるから、テレビからの地続きの話だってわかるしね」

雷華「シティハンターの雰囲気も残しつつ、香の知り合いを出して物語に絡ませることで、劇場版の特別感を出してたのも良かったね」

小城「昔の知人が大物になって再会するっていうね。そこでなんで香が今の仕事についてるのかも掘り下げる」

雷華「昔の知り合いが大物になったけど、そのせいで歪んでしまったっていうね」

小城「目的と手段が入れ替わっちゃったんだよね。だから、本来の目的も忘れて冴羽獠を倒すことに固執してしまう」

雷華「あれ結局、香の心を掴んでる獠に対する嫉妬だよね。そして、大切なものは何かわかってる冴羽獠と、そこを見失う悪党、ていう対比もしっかりしてたね」

小城「人間味のある悪党なんだよね。だからこそそれがミスになって敗北するっていう」

雷華「シリアスになってからの冴羽獠が格好いいんだよな。ある意味、親の遺産である兵器を破壊する前に、娘さんに確認するところとかね」

小城「やっぱね、街の掃除屋っていう、アウトローがアウトローを制する、てのが格好いいんだよね。キャラ造形が芸術なんだよ」

雷華「設定だけ見るとシリアスな作品になりがちな材料なんだけど、冴羽獠のキャラ性で振り切れないようにしてるのが凄いんだよね、あの作品」

小城「冴羽獠のキャラクター性もそうだし、あの立ち位置もそうだし、よくできてる作品なんだよね。だからこそ世代を超えて愛されるんだろうな」

雷華「ああいうキャラに弱いんだ俺たちの世代は(笑」

小城「あれを格好いいと思える英才教育受けてるからね(笑」

雷華「冴羽獠とか格好いいのど真ん中にいる存在なんだよ(笑」

小城「冴羽獠とかルパン三世とかに通じる、普段はおちゃらけた三枚目だけど、ここぞって時は決めてくれる格好良さね」

雷華「そういう部分を残して作ってくれたのがいいよね」

小城「見る前はね、毒にも薬にもならないような作品になって埋もれていくような出来になるんじゃないか、て心配したけど、杞憂だった」

雷華「冴羽獠のスケベな部分をちゃんと描写したのは良かったと思うよ。キャラとして大事な部分だからね」

小城「うん」

雷華「最初のツッコミでもセクハラじみた言動に『時代を考えろ!』てツッコミ入れるところ好きだよ。あそこはコンプライアンスの変化を逆手に取ったよね」

小城「違和感なく受け入れられたのに、神谷さんの演技が変わってなかったのもあるよね」

雷華「ちゃんと声優さんも揃えてくれたしね」※8


 ※8

 基本的にゲストキャラクターのキャッツアイも含めでTV版と同じキャストで演じられているが、来生泪役の藤田淑子さんは浸潤性乳がんの病気療養中のために不参加となっている。残念ながら本作の完成を待たずして亡くなられた。エンドロールでは追悼コメントが載せられている。


小城「神谷さんの声で冴羽獠が聞けたのは大きかったよね」

雷華「声優さんもどうしても年齢を重ねると昔の演技が出来なくなることも多いから、そういう意味でもちゃんと声が出るうちに撮って置いたのは良かったかもしれないね」

小城「これが最後になるかもしれないけど、またこういうスペシャル欲しい」

雷華「またやってほしいよなぁ……」

小城「昨今のリバイバルブームもあるからね、こういう作品が増えていくといいな」

雷華「ちゃんと雰囲気を残して作ってくれたのもあるけど、続いて欲しいね」

小城「シティハンターはやっぱ、30歳・40歳の人に見て欲しいね。若い人には理解できない美学かもしれない」

雷華「難しいね」

小城「どうしても懐かしいという下地があるからね。何も知らない人が単独でこれを見てどう思うかはわからない」

雷華「俺らはある程度知ってる上で見てるからね」

小城「積み重ねが面白さに変わる映画でもあるからね」

雷華「過去に作品を見て、好きな人が見て『ああ、シティハンターだな』て感じる作品だよ」

小城「別に漫画全部読んでないとわかんないわけでも無いし、昔、アニメを見てた人とか、ロードショーとかで見た人が見て、冴羽獠の格好良さを再認識する映画だよね」

雷華「やっぱ冴羽獠が好きです(笑」

小城「それ言いだすと話終わんないから、ここへんで締めるよ(笑」


・次は何を見る?


小城「次の映画を決めようか」

雷華「次回ね……」

小城「連続して面白いって言ってもらえたからそろそろダメな映画をチョイスしたい」

雷華「なんで信頼を地に落とすようなことするの」

小城「思ったんだけど、いい映画が思いつかない」

雷華「2回連続で高評価で終わってるから、変化球を投げたい気持ちはわかるけど」

小城「俺はクソ映画を勧めた手前ね、ちゃんとした映画を進めないと、て思いがね(笑」


 コープスパーティーの禊をする男。


小城「コープスパーティーを勧めたのはね、若干……後悔してるから」

雷華「罪悪感を感じる(笑」

小城「まだ笑って見れたから良かったよ。これがバトルハッスルだったら罪悪感じゃ済まないからね」

雷華「そうやって期待値をどんどん上げるやろ」

小城「あれ見た後、虚無しか残らないから本当にやめた方がいい。誇張抜きで真顔になって30秒ほど硬直するから」


 文字では伝わりませんが、本気で止めている小城。


雷華「そういう謳い文句に心惹かれる自分が憎い」

小城「おすすめして友情にヒビを入れたくないので絶対におすすめしない」

雷華「映画の評価じゃないんだわ(笑」


 気にはなるけど、あんまりにも必死に止めるので止めておくことに。


小城「前後編とか三部作みたいな作品だとあげづらいんだよね」

雷華「映画あるあるだね。それだけで4時間とかなるし」

小城「『ちはやふる』とか、原作の再現が上手いから見て欲しいんだけど、4時間コースになるんだよね」

雷華「そもそも原作を見てないんだよね」

小城「スポ根ものだから、好きだと思うよ」

雷華「あれは百人一首だっけ?」

小城「そうそう、競技カルタだね。結構、スポ根もの」

雷華「でも4時間はちょっとなぁ……」

小城「2週連続、アニメ映画でもいいかな」

雷華「ほう?」

小城「ヒロアカの2作目とかどう? 見た?」

雷華「まだ見てないな、ヒーローズライジング?」

小城「それそれ。今年のHuluに入った作品ではトップクラスに好き」

雷華「1作目が悪いとは言わないけど、出来としては普通だったから、積極的に見ようと思ってなかったんだよね」

小城「2作目は1作目よりもはるかに面白いよ。映画ならでは禁じ手とかやってて、『それやっちゃっていいの!?』ていう展開がある」

雷華「確かあれは作者監修なんだよね?」

小城「そうそう、作者がOK出してるから正史としてありなんだろうね」

雷華「好きな作品だし、楽しみ」

小城「そっちはどうする?」

雷華「俺は今回は『ミッドサマー』にしておこうかな」

小城「ついに来ちゃうか」

雷華「個人的には新感覚のホラーものとして評価してるんだけど、周囲の声を聞くと『悪趣味なだけ』て感想が多くてさ。そこも踏まえて君の感想が聞きたい」

小城「なるほど」

雷華「人間の狂気を押し出した作品で、幽霊とかオカルティックなものじゃなくて純粋に人が怖いっていう映画で、俺は割と好きなんだよね」

小城「じゃあ、今回はそれで行くか」


 次回「ミッドサマー/劇場版僕のヒーローアカデミア ヒーローズライジング」

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