第4話 (前編)

特別暑くもなく、けれども自分たちの周りの機会が全て作動してることにより熱気を感じさせるコインランドリーに私たちは何をしに来たかというと、保健室で漏らしたおしっこをふいた布団を洗濯しようとしていた。

『一番大きいやつにしよっか』

『そだね。布団の洗い方ってよくわかんないけど、とりあえず洗って乾燥さえかけてもらえれば良いしね。今日後でまた来る?』

『ううん。明日の朝いつもより少し早く家出て寄ってった方が楽だと思う』

『確かに』

おしっこの匂いが漂う布団をドラム缶式洗濯機に入れていく。

自分の身長くらいはないがかなりの大きさだ。

うちの洗濯物全てが洗えちゃうぐらいはあると思う。

『えーと、何分かな?』

『テキトーテキトー。とりあえず一番長いやつにしよ。あと、乾燥も長いやつで!』

『オッケー』

紫穂の指示に従ってお金とボタンを押す。

紫穂は父子家庭なのでコインランドリーに来る機会は多かったそうだ。

布団の洗濯はあまりなかったから覚えてないらしい。

『これでよし』

ボタンを押すとピッと軽快な音を立て回り始める。

『帰ろっか。お風呂入りたい』

『そうだね。来海ちゃんのパンツから漂う匂いともお別れだと思うと寂しいけど…』

『紫穂?』

『ごめん。冗談。私は一糸纏わぬ姿の来海ちゃんが一番好きだから』

そう言って、紫穂は私のお尻を触ってくる。

『ひゃっ!ちょ、やめてよ!外だから!』

『く、来海ちゃん…』

紫穂が何やら深刻そうな顔をしている。

人のお尻触っといて深刻な顔とか…もしかして私太った?

『ノーパン?』

『そっちかぁ!』

近くにあった机を台パンする。

手、痛い。

『来海ちゃん。いくら外でもしたいからってノーパンはちょっと…したいの来海?』

『思ってないから。ちゃんをつけて。えっちな時の声出すの禁止!の、ノーパンなのはさっき汚しちゃったから…』

『ふーん。それだけか』

『・・・他になんの意味があるのよ』

紫穂に文句を言いつつ、用事も済んだのでコインランドリーを出て家に向かう。

『帰ったら勉強しよっか。紫穂はなんの教科が苦手なの?』

『んー女同士の保健体育以外は苦手かなぁ』

『ん。数学が苦手ね。じゃあ、帰ったら教えてあげる』

『うそうそ!数学も苦手だけど、それ以上に理科と数学がピンチなの!』

『わかったわかった。全部教えてあげる。今日はなんの教科勉強したい?』

『来海ちゃんの勉強が終わってからで良いからまだ決めてない』

『私はテスト前に少し勉強するだけだから、今日はそんなに…』

『出た!学年一位の余裕!でもせっかくなら甘えさせてもらって数学の勉強がしたいなぁ』

『どこが苦手なの?』

『空間図形かなぁ』

『あーあそこなら紫穂の見込みが早いからすぐ慣れると思うよ』

紫穂は飲み込みは早い方だと思う。

それに使い方をマスターすると私ほどではないが応用問題も余裕で解ける実力だ。

いつもテストの点数ギリギリなのはきっと不眠症で前日の夜寝れないからだろう。

『紫穂。私も頑張るから今回のテストで絶対いい点数取ろうね!』

『お手柔らかにお願いします。あ、でも私もその代わりに保健体育教えるよ』

紫穂がお尻を触ってくる。

『ま、また触って!』

紫穂の頭に決して優しくはないが愛のある(?)拳が頭を直撃する。

『うぅ〜。痛いよ来海ちゃん』

『もう。なんでそんなにえっちしたいのか私にはわからなー』

ドンっと耳元で音がして視界が暗くなる。

足がバランスを崩し近くの壁にもたれる。

私の頭の横には紫穂の両腕が壁に触れている。

いわゆる壁ドンというやつを私は今受けていらと気づく。

ごくり。

紫穂の瞳が私を捉える。

私は恥ずかしくなって目を逸らす。

『逸らさないで来海』

紫穂が私を呼ぶ声はえっちの時に使うものになっている。

『私は来海のことが好き。だからえっちしたいと考えちゃうの。わかってるんだから、わざわざ言わせないでよ』

紫穂の顔は赤くなっていてさっきまでの気迫は無くなっていた。

ただの可愛い乙女になった紫穂を見て私はただ、魂が抜けたような間抜けな返事だけを返す。

『ご、ごめん…なさい。もう、言わないから』

『いや、なんか恥ずかしいこと言ったって自分でもわかったから忘れてくれるといいんだけど…』

『それは無理かなぁ』

『それなら、試して見る?』

『えっ?』

紫穂が周りを確認して誰もいないことがわかると私のスカートの中に手を入れる。

『ちょ、ちょっと!ここ外だっ…んなぁ!』

『大丈夫。イかせたりはしないから。少し気持ち良くなって欲しいだけ

紫穂の手が私の下をこする。

いつもはいれるけど今は外にいるせいかえっちとしては優しいというか軽い方だ。

されどえっちはえっち。

私を襲う一つ目の波まではそう時間はかからないだろう。

『んん…い、あ、あぁぁぁぁ…し、しほ…』

『ん。これくらいにしとくね』

紫穂が擦るのをやめて手を離す。

『はぁ…はぁ…はぁ…』

『来海ちゃん。イかされるかと思った?残念。私は外でイせるほどえっちな子じゃないよ』

紫穂が私の頬に手を添えてキスをする。

でも。

それじゃあ、生殺しみたいなものだよ…。

私に残され蓄積されたわだかまりはどう対処すればいいっていうの?

『紫穂の意地悪』

『ふふっ。次は来海から求めにきてもいいからね』

紫穂は勝ち誇ったような表情でいった。

対して私は何かを求める答えは決まっているのに、まるで届かないかのように未だ迷走していた。

                ー次回へ続くー

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