第14話:人材選別の深刻化 ③

特に、人材の流動性が激しい業界や業種・職種別の統計などで上位に来る業界や職種などではこれらの課題を減らす意味でもきちんと労務管理や相対待遇制にするなどお互いがWin-Winの関係性を構築出来るような労働環境の整備をしていかないとこれらの問題は解決されないだろうし、人材不足が深刻になることで困ってしまう人も少なからず出てきてしまうことからこの問題は早急に関係各所で話し合いを持ち、会社にとっては事業規模の拡大や採算性の向上などの経営していくうえで必要な部分を整備すること、働いている人にとっては働く場所を得ることで、経済活動への参加や新たな労働環境における技術習得などメリットはたくさんあることからお互いに働きやすい労働環境の整備や労働対価の改善が求められていると私は思う。


 次に“選択可能な職種の増加に伴う需要格差”だ。これは若年層から高齢層までを見ていると特に若年層においては顕著に見られるケースのように感じる。


 そして、今はネットが以前に比べると発達していることから自分を宣伝しやすくなっており、これらの媒体を活用することで徐々に認知度が上がっていくことも十分に可能性があるのだ。そのため、芸能界入りした人でもSNS経由もしくは第三者がSNSに投稿した投稿がきっかけでスカウトされることも以前に比べると増えてきていることからネット上で地道に活動したいと思っている子供~大人が増えていることや本業で会社員などをしていたとしても副業や趣味としてこのような投稿をして別の道を模索している人も少なくない。


 しかしながら、このような人たちはある程度の成果を出すと退職してしまう傾向にある。それは、“副業禁止”という世間一般の常用思考の流れが彼ら・彼女たちを会社から追い出してしまうのだ。


 この問題は長期間十分な議論がなされないまま時間だけが過ぎてきたこともあり、そのような活動を視野に入れている人にとっては“待っていても自分が損をするだけ”という気持ちを芽生えさせてしまうことになり、会社にとっては逆効果をもたらすこともしばしばだろう。しかし、これらの部分はかなりバランスを取るのが法的にも社会活動上も難しいのが現状だ。


 なぜなら、社員側には“職業選択の自由”と“生存権”・“基本的人権の尊重”など自分の生命を維持するためには必要な判断は他者の干渉を受けずに決定をすることが可能なのだ。そのため、これらの基準に当てはめると仮に勤めていた会社を辞めて、別の仕事をする事も“職業選択の自由”が適用されることになり、労働基準法上の退職時の条項を遵守することは求められるが、法的には問題ない。


 一方で、会社などの組織の場合は会社側が“労働契約”(労働基準法ならび労働契約法)を結んでいることから、社員は与えられた業務をきっちりこなし、会社全体の健全な業務の遂行と適正な労働環境の整備が求められており、これを社員に遵守させることができるのだ。しかも、会社側から本業務に支障が出ると判断された場合、副業禁止の企業において副業など会社外で所得を得ていた場合は当該社員に副業の禁止や停止などを会社側が社員に対して求めることができる。


 しかし、会社などのこのようなルールを厳格化しすぎた結果、社員が閉塞感を感じてしまう場合や会社に束縛されていると感じてしまうことやこれらの要因がきっかけで労働人口の減少だけでなく、労働量に対する所得の減少にも繋がっているのだ。


 次に“雇用形態別賃金・待遇格差の拡大”だ。これは今の日本にはいくつもの雇用形態が存在し、それぞれで保証範囲も異なる。そのため、“安く人を雇いたい”・“良い人材をアルバイトやパートなど非正規雇用で確保し、人件費を抑えて経営をしたい”と思う経営者心理もあるのだろう。


 しかし、このような雇用を正当化することは“労働対価の適正化”ではなく“自己利益獲得の手段”や“優越性乱用による労働搾取”と思われてしまう可能性も有る。もちろん、これは法律で認められている範囲で行われている事が前提だが、少なくともこのような人を安く雇いたいというなら待遇を改善するなどして“好都合な人材”ではなく“適正な人材”という認識を持たせることと継続的な採用を目指すために良いイメージを発信し続ける必要がある。その上、同じ業界で悪いイメージを持たれることが起きるとこれまで構築してきた関係性が崩れる可能性もあるため継続的な信用性の獲得が重要になってくる。


 そのため、“労働対価は適正か?”・“従業員の休日数は労働基準法に抵触していないか?”・“特定の社員もしくは現場社員(パート・アルバイトを含む)が適性菜業務を行える環境なのか?”などきちんとした労務管理や不当な扱いをしないなど働く側の視点に立った雇用をしなくてはいけない。


 そこで私が提案したいのは“社会賃金適性システム”だ。これは、正社員などの正規雇用からパート・アルバイト(扶養対象外のみ)などの非正規雇用までの賃金差を±5万円以内に設定するべきだと思っている。なぜなら、私はこの部分が日本の経済格差を助長しているのではないかと思うからだ。


現在、扶養対象になると3ヶ月連続で10万円を超えてはいけないなど制限が掛かるが、これも改善する余地があるように感じる。その理由として“年収型”が安定しない人にとってこの制度が“首を絞める可能性”があるからだ。そして、このような制限をかけたことで扶養対象者の就労が制限されることで店舗や商業施設などに人手不足をもたらし、そのしわ寄せが扶養の対象外となるその他の現場社員やパート・アルバイトの人たちに向かっていってしまい、後者の不平不満を引き起こす要因になってしまう。すると、その不平不満が溜まることで扶養対象者の入れないシフトを補填している本人たちは職場などに対する不満が爆発し、大量退職やボイコットなどを行う可能性があるのだ。


 だからこそ、扶養対象者を雇用する場合には一定数の人材を確保し、職場全体で適正な労働ができるように労働環境の整備をするか、現在設定されている連続所得制限を撤廃し、年間所得収入額で扶養対象とするかを判断するかでないと人材確保が困難となり、現場が疲弊してしまう可能性が高いのだ。


 それらに加えて、現在の社会においては“副業禁止”が働き方に大きな影響を与えている可能性も否定できない。なぜなら、アイドルや芸人などの所得不安定な人たち(一部例外あり)や小さな子供を持つシングルマザーの方々、自分の夢を叶えるためにアルバイトをいくつも掛け持ちする人など生活をするためにさまざまな方法を模索して、多岐にわたる本人たちの人生設計がある。世間一般は“お金が稼げないならその仕事を辞めて、定職に就いたほうがいい”・“その夢なんか叶うわけない”・“あなたにはそのような夢が向いていない”などマイナスでネガティブな言葉をかけられるが、本人たちは自分の夢を追いかけると“決心している”のだから、そこに対して第三者が干渉する事はあってはいけないと思うし、そのような同調圧力をかけられることはお互いにいい気持ちはしないだろう。そして、そのように夢を追いかけている人の中にはスポンサーさんなどのその夢を応援・支援してくださる人が必ずいるわけではないし、まだ始めたばかりの人や始めて間もない人などは“生活するお金を稼がないといけない”ということで自分が出来るアルバイトを掛け持ちして働く人たち、知り合いに頼んで働かせてもらう人たちなど個人で働く努力をしているのだ。ただ、アルバイトの掛け持ちと個人活動で睡眠時間を十分に取れずに体調不良を起こして活動ができなくなる人、アルバイトの掛け持ちと子育てで睡眠が十分に取れなくなるなど無理をしないと生活出来なくなる人が続出する背景にはこの問題が影響している事が十分に考えられる。


ただ、都市部に住んでいる人の時給は高いものの、物価や家賃(賃貸などに住んでいる場合)が高額であることから貯蓄などを視野に入れてそれなりの額を稼がないと生活していけないことが多い。そして、地方に住んでいる人であっても時給換算が低いこともあり、一人暮らしなら生活を維持できる額を稼げていたとしてもいつ所得がなくなってしまうかは分からないこともあり、都市部に住んでいる人と同様に貯蓄額を視野に入れながら生活をして行かなくてはいけない。そのうえ、労働時間や活動時間を考えるとかなりのハイブリッド型労働が求められるため、定期的なバイトに加えて、短期バイトなどを間に挟んでお金を得ようとする人も増えてくるが、昨今の社会事情によりアルバイトもかなり難しい立ち位置を迫られているようだ。そのため、最初からアルバイトを掛け持ちして1つの仕事がなくなっても別の仕事があったおかげで生活ができているという人もいる。


このように社会における“所得格差”は分析していくと“労働格差”や“賃金格差”・“個別能力格差”などかなり多岐にわたって格差が広がっているため、何か1つだけがきっかけになって格差に繋がるということではなく、いくつもの連鎖が格差に繋がるのだ。そのため、能力が高く、社会的評価も高い人ほど所得が高くなり、能力が高くとも社会的評価が低い人は所得が低くなりやすい傾向にあるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る