第8話:人間関係 ②

こういう行動が目立つときには第三者が“なぜ、そのようなことをしてはいけないのか?”・“なぜ、そういう事をしてしまうのか?”を認識させるために指導に携わる事も必要になってくると思う。


 これは私自身がデータを見て分析をした私見なのだが、子供たちのいじめの発端は実体験から来ている場合が多く、その実体験が連鎖的に周囲に対しても影響を及ぼす可能性が高いということだ。


 そして、子供たちは自分の価値観と異なる人を排除する傾向があり、自分の価値観の範疇に収まる人を探そうとするため、子供によっては学校内で孤立する、無理矢理相手に合わせて体調や精神面に影響が出るなど“自分が無理をしなくてはいけない”・“親に心配をかけたくない”という気持ちが心的な負担になり、本人の意図しない形でいじめや不登校などに繋がるケースも十分想定される。


 特に、個人調査票【個人管理票・家庭環境調査票など都道府県や市町村の学校などで呼称は異なる】(本人のアレルギー症状の有無や持病等児童・生徒本人に関することや家族構成・勤務先、自宅までの地図など家庭環境に関することなどの個人情報が記載されている書類)に記載されている情報だけでは判断が難しい場合も多く、いじめの要因を掴むことは容易ではない。


 ただ、年齢が上がっていくことでこれらの判断力がそのまま本人の基準になることもあり、人数が増えるといじめが増えていく傾向があると思う。そして、同性間のいじめも多いが異性間のいじめも小学生頃から次第に増えていくことで問題の複雑化が進むことになる。


 特に個人差を考えると、どの年齢においても個人的なケアは必要になる。しかし、同じケアでも男女ではケアをする範囲が異なる。例えば、男女共通の問題として早熟傾向にある子供が学年にいる場合はこういう子供たちと周囲の子供たちに対して子供別に適切な指導をしていくことが容姿などのいじめ発生を抑制させることが可能になる。そして、いじめに繋がらないよう周囲の子供たちに「みんなも次第に身長が伸びていきますよ」という周知・説明をして、身長が伸びる時期が人によって違うことを理解させることで個別認識が変わっていくような指導を心がけることが大切だろう。そして、身体の変化に関しても小学校入学時から定期的に男女別の指導や年齢別の指導を行い、その年齢において必要な知識を与えることと修正する作業を繰り返さなくてはいけない。


 そして、一般的には子供たちの年齢が上がると周囲の環境やその人と関わる人が増減を繰り返していくため、何かトラブルやいじめなどが起きたとしても調査する範囲が広がってしまう。


そのため、1件のいじめが複数のいじめや暴力などを伴った喧嘩に発展すること、1人がやった行為が連鎖的に拡大し収拾不能になる可能性もある。その間にいじめのエスカレートや児童・生徒の精神的苦痛の増大などによる不登校などに繋がった場合は学校側も子供たちの心的ケアやカウンセリングなどで疲弊することになる。


 そして、現在は子役やキッズモデル・キッズアイドルなど以前に比べると子供たちの学校外活動の増加が顕著になっており、これらが起因となるいじめや第三者からの誹謗中傷、学校への脅迫などが起きる可能性は高い。そして、現在はデジタル社会ということもあり、何か問題が起きると簡単に個人情報やデマなどが拡散されてしまうし、第三者が写真を盗撮してSNSに掲載すること、ネット上に加害者の写真や被害者の写真と個人情報が出回ってしまうことで、その情報を基に通っている学校を特定され、その学校に通っている子供たちに対して誹謗中傷やいやがらせ、報道機関などが押しかけるなど無関係の子供たちのプライバシーやイメージも毀損させてしまう可能性があるのだ。


 そして、そういう行動に出ることで校内だけでなく、家族や親戚などにまでいじめや嫌がらせなどの連鎖が止まらなくなる、いじめの被害者とされた子供だけでなく、兄弟や親戚であっても本人が築き上げてきた人間関係を壊されるなど余計に生きにくい社会構造を作ってしまう可能性がある。


 このように大人が作ってしまうイメージが子供たちを追い詰めてしまう事も念頭に置かなくてはいけないし、子供たちの人間関係が大人の人間関係で振り回されるということも避けなくてはいけないと思う。


 今の時代は人間関係で周囲からのイメージや信用が変わってしまう可能性がある。そして、子供の場合は持っている物で関係を維持するか、関係を終了するかがはっきりと区別している子供も多い。特に、子供たちの場合は人気のゲーム機を持っている、最新のスマホを持っているというだけでもその人の周りには友人がたくさん集まっていることもある。


 一方で、家庭の経済事情や家庭別ルールで制限や禁止をされている、これらの関係で物を購入してもらえないなどこの事が子供の人間関係に対して大きな壁を作り、子供間の価値観の相違によりいじめを誘発する可能性があるのだ。


 もちろん、各家庭でルールも異なっているため、これらを統一することは困難だが、これらの基準で子供たちの人間関係を構築せざるをえない場合も多く、子供たちにとって大人の人間関係が子供の人間関係を構築するための基本方針であってはいけないし、そういう事を理由に子供が自力で構築した関係を壊すことはもっとあってはいけない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る