第5話:児童・生徒の将来性 ①

今は小さいときから子役として芸能活動をする子や小学生・中学生でアイドルになる子、モデルになる子と早くから社会に出て活動する子も多い。そのため、現在は都市部ほど学業との並行している事が多く、本格的に活動している人がそれほど多くはないのだ。


 もちろん、義務教育期間であることから子供たちへの配慮が必要になってくるが、人気の子になると学校を休まないといけないなど学業に支障を来している場合が多い。


 私は芸能活動に対しては個人の意思を尊重するべきだと思っているが、最も危惧しているのは“視聴率”や“放映利益”など大人の事情で振り回される可能性があるということになる。そのため、人気の子役さんになると夏休みなどの長期の休みで数日しかないなどの懸念も十分考えられるし、このような年代である程度起用して将来的に義務教育終了後には女優や俳優など多方面で活躍出来る人材になって欲しいと思っているのだろう。


 しかし、この事が将来的には個別格差や活動の幅に影響が出てしまう可能性があるのだ。これは誰にでも例外なく起きることではあるが、最も影響するのが子役事務所から一般の芸能事務所に移籍する際だ。


 特に、幼少期から活躍している人になると事務所は手放したくないし、移籍するなら移籍金を残して欲しいと思うのが自然だろう。

 私はこの部分も含めて利得権益が先立ってしまっては子供たちが場合によっては芸能活動休止や芸能界引退などマイナスの選択をする事も十分にあり得るのだ。


 最近は芸能界引退をする人が増えている背景に“ステイホーム”や“コロナ渦”で新しい世界を模索している人が多いからではないか?という話題も出ているが、私は芸能界における引き際だと思っている人が多いからだと推測している。


 というのは、芸能界というのは“話題性がある”、“数字が取れる”、“認知度が高い”など上に対して好都合になっていないと起用されないことが多い。そして、両親のスキャンダルなどのイメージダウンが懸念される事や両親の結婚・再婚・妊娠・出産などにより長期間の活動休止・停止(産前・産後休暇)によるブランクなどにより出演機会を失うことも少なくない。


 そのため、定期的に出られていた番組に出られなくなる、新しい人にキャスティング変更されているなどというのは多い。


 これも私は“数字”や“番組イメージ”という大人の事情が絡んでいるのだろう。このように、テレビの社会というのは双方に利益がある場合だけでなく一方的な利益勘定が行われている場合も少なくない。


 そして、この時期に多いのが、芸能活動に対する“進路選択”だ。


 芸能界では小学6年生までを“子役”と呼び、中学生になると“女優”・“俳優”・”タレント“などその人の呼称が変わる。そのため、この段階で芸能界引退を決断する子も少なくない。


 そのため、芸能界を引退する子たちはその後、子役としての経験を抜きにしてもさまざま分野で活躍する素質を持っている。一方、芸能界で活躍出来なかった子や夢半ばで挫折してしまった子は周囲のフォローが必要なケースもある。


例えば、“あの子、有名子役事務所に所属していたのに辞めちゃったのね。根性ない”などネットで叩かれることや近所の人や周囲の大人たちからの罵詈雑言、ネット上での誹謗中傷など彼ら・彼女たちに掛かる負荷は並大抵ではない。そして、こういうことが学校などのいじめにつながり、その子が生きる場所がなくなることも十分にあり得るのだ。


 私はこの背景に“利益搾取”の概念が隠れているように感じる。


 なぜなら、テレビ番組であっても子役の中でランク分けされていて、出演機会をもらうには常に上にいるか、何らかの実績を求められているように感じるからだ。そして、1度有名になってしまうとその子にオファーなどが集中することになり、他の子役として活動している子供たちの出演機会を奪う結果になり、将来を担う人材が減っていくことが十分予見できるのだ。


 その結果、子役の段階で相当数が辞め、残った人材でも中学生までに芽が出ないと辞めていくという状態になる。


 このことについて、社会的には“本人の努力不足”や“本人には向いていなかった”という評価をされるが、私は“実績”や“認知度”を重視した結果、地道に活動している子供たちが持っている“個性”や“想像力”対してチャレンジをする場所を与えられなかったということになると考える。


 もちろん、その子が作品などにマッチしないということもあるだろうが、まずは何らかのチャンスを用意して資質等を見極める必要があると思う。


では、早期からこのような活動をするメリットとは何なのだろうか?


 まず第1に“人生選択の柔軟性”だ。これは、幼少期からこのような活動を開始することで方向転換がしやすい、やりたいことを見つけながら並行的に活動できるなど本人にとって最適な選択をするために“経験”と“体験”を積んでいる状態になる。


 現在は多くの子供たちが子役やモデル・アイドルとして活動しているが、こういう子たちがその活動を辞める時には次のステップとして活動の幅を広げる、本人が掲げていた目標が達成出来た、大手事務所からスカウトされたなど個々によって事情はさまざまだが、これらの事情を考慮すると、幼少期の活動が次のステップに繋がっていると考えるべきだと思う。


そして、自分のやりたいことをするためにまずはオーディションなどを受けて合格し、地道に活動することが大事だが、この時点で気を付けなくてはいけないのが“有名”が“無名”かだ。


 これは、将来を見越した上でも重要な点で、例えば、有名アイドルグループや有名芸能事務所に入った人はすぐに注目されるし、その分成長や活躍を求められる。そして、その人が活躍することでそのグループや事務所に対する印象が良くなるなどお互いがWin-Winの関係になるのだ。そのため、どんどん活躍することでどこまでも人気者になれるのだ。


 しかし、今はご当地アイドルなど活動する場は多くなってきて、それなりのチャンスは与えられているが、多くの人たちが上を目指してしまうというのは“自己承認欲求”が強いこともあるが、“自分はこのくらいのレベルでやっていける”という“自信”の強さも目立つからだろう。そして、その業界の上に行きたい、有名になりたいなど自分の夢を叶えたいという気持ちが先行し、周囲が見えなくなることもある。


ただ、有名な人たちになるとそれなりの能力や実績を求められるため、努力だけで活動していくにはそれなりの覚悟を必要とする。


 一方で無名のグループに入って活動することも1つの選択肢だが、こちらは売れないと解散や活動終了が多い分、上を目指す子供たちが活動するにはリスクが伴う。


 そして、活動も月に数回など一般的な活動量からするとかなり経験“と”体験“が積めない可能性もある。


ただ、現在は有名になった芸能人にも過去に地方でアイドル活動をしていて、SNSなどの口コミで噂になり、そこから大手事務所などの目に留まり、スカウトされて有名な女優さんやタレントさんになったという人も少なからずいることから、注目されるような資質がないとそこから這い上がることはかなり難しい。


 だからだろうか、今の子供たちの活動傾向としてはモデルや動画配信者などの個人単位で出来る事をして、そこから上に登っていこうとする子も増えてきた印象だ。


 そして、動画配信者からテレビ出演を勝ち取るという人も多い。


 これはいわゆる“登録者数”等の数字も関係しているが、いわゆる“社会的認知度の高さ”が“視聴率”や“購買率”に繋がるとメディアや企業が判断した結果だろう。


 もちろん、幼少期から活躍出来る人はどんどんメディアなどに出演してもいいとは思うが、問題は“その人で何がしたいのか?”という点だ。

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