第29話:社会が教えられること ⑥

今の日本というのは認知されないとどのようなことを発信したとしてもきちんと相手には伝わらない。


 そのため、人気がある人が発信することは信じてもらえるが、そうではない人が発信しても信じてもらえないため、そういう人たちが自分を否定されていると感じてしまう反面も見え隠れしているように感じる。


 今の日本において難しいのはパワーバランスが一定にならない事や家柄など相手の社会的立場を考慮した価値観の定常化が社会的な影響に加担する可能性がある事や忖度によって個人の扱いが変わってしまうなど日本における他責思考の発生多発が懸念される状況が長期化している事であり、これらの行為の低年齢化も顕著になっている。


 その要因として考えられるのが、“ネット情報”や“動画配信”など大人たちが子供たちに向けて発信している“情報取得ツール”における登場人物のやりとりやタイトルなどでも“○○がやらかしました”や“○○のせいで大変なことになりました”というあたかも特定の人に対して責任を押しつけるかのようなタイトルや暴力的な表現を用いた内容などと幼少期から触れている事で“これくらいしても問題ない”という認識も芽生えてしまうため、1番恐いのはこのような人たちがきちんと子供たちに悪影響を与えないような情報発信と社会協力が出来る立ち位置を確立出来る人がもっと増えていくことも子供たちの他責思考の基礎を取り除くためにも必要な事だと思う。


 今は自己責任よりも他者責任のほうが追求される可能性が高くなっている。


 そのため、自己責任型の人が立場の弱い時に集中的に責任を押しつけられてしまうと、出世をしたとしても起きる事を全て自分の責任だと思ってしまい、体調を崩してしまうことや組織内で孤立するなど悪い方向にこれらの体験・経験が作用してしまう可能性がある。


 一方で、他者責任型の人は立場が弱い時であっても相手や周囲の人たちに責任を押しつける事が多いため、多くの場合は自分ではストレスを感じることは少ない。


そして、出世してもスタイルをあまり変えないで進んでいくため、自分で追わなくてはいけない責任以外は別の人に押しつける事に対して“罪悪感”がないことや上司からやられてきたことをそのまま部下に対してやってしまうなど負の連鎖を無意識のうちに相手にすることでそれをやられた相手が再び別の相手を攻撃するという構図が確立されてしまい、未来ある人材を潰す要因になってしまうことが日本における人材育成の在り方がいかに年功序列を重視した価値観が長期間にわたって幅広い年代に伝承されていることで“この人だからこういうことを言っている”という暫定的な価値観が“やはり上に立つとこういう考え方で人と接するから自分も良いだろう”という定常的価値観へと変わってしまうことになる。


 今は自分が正しいと思ったことを実行して上手くいかないと相手のせいにして、自分を正当化する人や“自分の立場を利用してやりたいことをやるために不特定多数を巻き込むこともういとわない”という考えを持っている大人が多く、その人のやり方を子供の時に知ってしまうとその行為が正当化され、いじめや差別や偏見に繋がっていく可能性も否定出来ない。


 そして、そのような子供からいじめや差別・偏見を受けた子供たちにとっては“両親のせいだ”や“僕は生きている資格がない”などネガティブな感情を持つことが芽生えてしまい、負の連鎖が構築されてしまうことで社会進出が遅れることや社会復帰出来ず、そのまま引きこもりなど社会との関係を絶ってしまう事にも十分に考えられる。


 これらの要因を見た両親は“あの子が悪い”・“あの子は人の話を聞かない”などあたかも“自分の子供が悪く、相手の子供は悪くない”という解釈で子供に接するため、子供側から見ると“自分の親は自分の味方ではない”と判断し、今度は親に対して暴力を振るう、親からお金を巻き上げるなどの犯罪行為に手を染めることや精神的に追い込まれたことで暴れて警察沙汰になる可能性もある。


 そして、事件を起こした時に“両親に裏切られた”や“両親が憎かった”・“カッとなってやってしまった”などの一種の親に対する報復心や他責思考が芽生えることも十分にあり得る。

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