第20話:教育環境の変化 ⑤
その理由として、日本というのは学ぶ内容が個人の学力に合わせて作られているわけではない。そうなると、子供たちの心理に無意識のうちに「なんで自分は○○より出来ないのだろう」という相手と同じ内容なのに自分ができないことに対する劣等感や習得しなくてはいけない内容を理解出来ない事に対するいらだちなど子供の精神が発達に影響が出てしまい、子供たちの学習意欲を傷つけてしまう可能性があるのだ。
もちろん、学校で習うことは全員が当該学年で学んで、理解して欲しいという大人たちの方針を尊重しなくてはいけないという心理もあるが、その壁を打開できるだけのサポートがないと子供たちを早々に挫折させてしまい、学習に対する嫌悪感を持たせてしまう可能性もある。
そこで、子供たちの学習環境や理解度、成績に合わせた習熟度別学習へ切り替え、子供たちの学力に合わせた学習法を提示することで子供たちのストレスはかなり減少すると考えられる。
もちろん、これらを実行するためには課題もあるが、同時に多角的な学習を展開することが可能になるため、“○○より出来ないのはなぜ?”というネガティブな考え方から“自分ってこんなに出来る”というポジティブな視点で状況を捉えられるなど子供たちの精神面でも安定した学習が展開できる。一方で、このような学習環境を整備するためには必要な教員数の確保や使用教科書の増加など双方の負担が増加し、人件費の圧迫や家庭における教育費を圧迫する可能性も否定できない。
ただ、今年の4月からは教科書などがデジタル化されることもあり、クラスに合わせた教科書利用に関しても子供たちが持ち歩く負担が減ることから仮に複数の教科書を同時採用することは難しくない。
そして、複数の教科書を学習できることで使われている公式や解法などの教科書毎の違いや模範解答の違いなどが学習選択の幅が広がっていくことで受験をする子供たちが自分の進学する学校で出る可能性のある問題などを学習できるため、受験に対する備えも出来ると思うし、受験をしない子であってもさまざまな問題に触れることで新たな発見に繋がっていくのだ。
このように多様化する子供たちの教育観や目標によりよい環境で学んでもらうにはこのような小さなことであっても子供たちに寄り添うことで子供たちの可能性を広げることが出来て、個々の良い点を伸ばすことも可能になる。
現在は社会全体が他責思考や他者比較で形成され、成り立っている部分が多い。その環境に幼少期から置かれてしまうと、自分と他者を比較する習慣がついてしまい、自分軸で物事を考えた時に相手から攻撃されてしまうと反論できなくなるという負の連鎖が起きる。
今後は縛るのではなく、自主性を高めるために選択肢を与えるという方が正しいと思う。
なぜなら、今の子供たちはいくつもの価値観を持っていて、ある特定の価値観を押しつけられる、1つの考えに縛られるといった意思決定の自由が奪われると個の能力が発揮しにくい子供が以前に比べると増えているように感じる。
その背景にあるのが、“本人が生まれ育った環境”に加え“身近にある問題の深刻度”が挙げられる。
これらの共通項として“社会的に認められていない事を社会に認めさせるには他者に責任を転嫁し、そのネガティブなイメージを持って、自分たちの正当性を主張する”という自分たちの主張を通すために社会的他責思考を用いて、相手を攻撃し、自分の意見を押し通すためには手段を選ばないという見方が正しいと思う。
これは、これから急速に変わっていく社会情勢、国際情勢等に対する若年層の問題意識の拡大、国内の教育環境の変化や教育環境の変化に伴う子供たちに求める基準の高まりなど幼少期から個に求められる能力がさらに高くなり、社会的基準で相手にその能力がないと社会的評価が厳しくなっていく。そのような人が社会に対して反抗すると、お互いに潰し合いなどのトラブルに発展し、価値観の違う人を排除する動きが出る可能性もあり、これらを子供たちに置き換えるといじめ、大人なら孤立に繋がってしまうリスクを抱えてしまうのだ。
次に“生活指導の見直しと幅広い認知”だ。
今の他責思考の傾向として、“情報が最新の物ではなく、古い考え方や1つ前の考え方が正しい”という誤認が相手を詰問する、自分が不利にならないように解釈させるという心理が働くのだ。
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