第17話:教育環境の変化 ②

特に20代の親御さんにとっては子供たちに対して十分な模範を示していたとしても、経験がないもしくは少ないために解決法を示すことが難しいケースもあり、これらの問題はどちらかというと親にとっても難しい部分があるため、「子供には同じ思いをして欲しくない」という親心から来ることもある。


 そのため、子供たちにとっても“親に相談しにくい”、“親に迷惑をかけたくないから相談出来ない”のような心理に陥り、何か問題が起きても家庭内における子供たちの立ち位置が難しくなり、何かが起きるまで我慢してしまうケースもかなりある。


 このような小さなストレスの積み重ねが子供たちの気持ちを病ませてしまう要因になり、このような子供たちの悩みが将来を悲観する習慣を付けてしまうのだと思う。


 このような状態になってしまったときに最も恐いのは“お互いに潰し合う”という認識が“他責思考”に繋がっていくことだ。特に学年があがっていくことで個々に起きる問題の複雑化や受験する子供たちとそうではない子供たちでは物事の捉え方も異なっており、価値観の違いから衝突する事も多い。


 今は以前に比べると子供たちの多様化が目立つようになってきており、小学校入学時点ではそこまで問題がなかったとしても学年があがる毎に関わる相手も広がっていくし、責任を伴う活動などが増えていき、さまざまな人と意見を交わしながら1つの物や行事、イベントを作り上げていく立場になる。


 私は親と子の価値観が違うことに気が付くのは小学生の頃に顕著になると感じている。


 その理由として、今までは小さなコミュニティでかつ限られたエリアの人と生活していたため、特定の人とは頻繁に会うことがあっても、そうではない人とは頻繁に会うことはないため、特定の人との関係性がその子にとって“日常”になっていくのだが、小学校になると周囲の幼稚園やこども園など小さいコミュニティがいくつも1つの場所に集まることになるため、多様な価値観が1カ所に集まることになり、個々に持っている価値観によっては攻撃対象になってしまう可能性もある。


 そのため、学校で同じ勉強をしていても子供たちの着眼点が違っていることを指摘し、その場で注意して直そうとしてしまうことや子供たちが見つけたことに対して「○○さん素敵なところに着目しましたね。ただ、この答えは○○です」のようにせっかく子供たちが見つけた答えを正解にせず、模範解答を正解にすることで“先生は自分よりも○○のほうが可愛がられている”と勘違いしてしまい、その人を攻撃するようになる。


 すると、やられた子供たちが親御さんに“今日、○○先生が○○さんをひいきしていた”という相談をして、その報告を受けた親御さんが別の親御さんに話して別の親御さんへ話すことで起きたことが周囲に認知されていくことでその先生に対する悪いイメージがついてしまう。


 その結果、先生はカリキュラムに基づいて授業を進めているだけなのだが、親御さんから見ると“先生が子供をいじめているのではないか?”という子供を守りたいという親心から感じた視点も十分に考えられる。


 今は多様性を重視しているため、どのような状況になっても本人を尊重する事が増えているが、人によっては“そういう人がいるから私たちのイメージが変わってしまう”や“あなたのせいでクラス成績のイメージが悪くなった”など自分のイメージが傷つく可能性がある場合にはその相手を攻撃する傾向がある。


 これは、今の日本における相互理解の希薄化が進み、相手のことを十分に理解する事なく、自身の主張を正当化することで本来は必要のない争いを無意識のうちに発生させているケースだ。


 特に現在はコロナ渦ということもあり、同じ学校の人とは交流出来るが、他の学校の人との対面交流が以前と比べると減っているもしくは制限があることから同じ学校であっても本人がいないところで責任の押し付け合いなどが起きやすくなり、大事になるまで周囲にいる人以外は誰も気がつかない事が多い。


そして、現在はデジタル化も進んでいることから今まではアナログ型だった問題がデジタル化の進行によってデジタル型の問題として移行しており、この移行が急速に進んだことでこれまで表面化していなかった課題が表面化し、問題によってはすぐに対応が出来ないほどかなり複雑な問題になっている。

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