第14話:他責習慣化が生む悲劇 ③-1

私はそのような人のインタビューなどを見ているとある共通点が見えてきた。それは、“周囲の大人からのサポートが的確だった“ということだ。


 例えば、“いじめられていたけど、定期的にカウンセリングに通って自分に自信を持てるようになり、両親からやりたいことをやりなさいと言われて自分のやりたいことについて考えられるようになった。”と答えていた記事を見ると両親が背中を押していることで自分が出来ることを考えるきっかけを作れたという一般的にはかなり難しいと言われている状態から再スタートを切ることが出来ているなど本人も違う視点を手に入れられたことで安心感が増したのだろうと思う。


 このように、周囲がその人に寄り添う形が作れていると次第に本人の意識や価値観が良い方向に向かっていくことになる。


 しかし、これらの課題が置かれている状況が今の日本において芳しくない状態が続いている現状がある。


 そして、これらの課題の解決が遠のいている現状があるうえでこの課題が相対的に社会的弱者の人たちが増えていってしまい、エコノミーバランスが崩壊してしまう可能性があるのだ。


 私はこの現状を打破するためには“個別労働の尊重”と“最低限度の多角的な相互支援”など周囲からその人達にアプローチしていかないといけないと思う。


 例えば、ベーシックインカムの導入を検討するという話をしているが、それだけでは貧富の格差が更に広がっていくように感じる。私はこういう事態を招くことで“自分の税金をそういう人たちに使うな!”と反発の声が上がるだけではなく、“そういう人は実力でお金を稼ぐべき”というその人が自分で働いて自己責任で生きていくことを主張する人もいるなど日本の中にはさまざまな意見があることは承知している。


 ただ、多くの人は“働けないのは怠けているから”や“不当解雇をされたのではなく、不当解雇されて当然の人だからそういう結果になった”という相手に全ての責任があるかのように言う人が多い。その理由として“会社というのはいい人しかいらないから、解雇されるような人はそれだけの能力がないからそういう結果になる”とその人の能力不足・技術不足を指摘する声があがるのだ。その理由としていくつかあるが、まず第1に、“日本における通例的人材選別”がある。


 これは人を増やすために求人などを出すが、多くの場合は”良い人材が欲しい“という良い人材を採用するために求人を出すのだが、ごくまれに”良い人材を採用して、ある程度稼いでから自己都合で辞めさせる“というプランを持っている企業も少なくない。


 そのため、私が危惧しているのは“人材流動性の不均衡”や“人材選別による労働意欲の低下”など再就職を目指す人たちがどれだけ有効求人倍率に対して応募し、企業側の採用率がどこまで伸びるかだと思っている。


 私の場合は一番多いときで150社以上に応募したこともあったが、どこからも採用には至らず、その後もどこからも声はかからなかった。


 その結果、アルバイトをしながら就職活動をしていたが、いつになっても結果が得られないという状態になっていた。


 このように、働けないのが“自分自身”なのか、“相手側”なのかも不明瞭な状態になりつつあるのが今の日本の貧困が悪化し、急速に深刻化している背景にあるのではないだろうか?


次に“企業間における個別認識格差”が挙げられる。


 これは、競争社会を象徴しているのではないかと思うくらい“自分の会社を守るためなら他の人や会社に責任を押しつけて逃げてしまってもいいという潰し合いのような考え方が定常化している“ということだ。そして、1つの企業であっても責任の所在が社内もしくは組織内でたらい回しにされることや複数の企業が関係している場合は立場の弱い企業に全責任を押しつけて濡れ衣を着せてしまうというパワーバランスの優劣で状況が変化してしまうなど理不尽なで個人や取引先に対して大きな損害を被らせることになるが、日本というのは“上の人に逆らってはいけない”という暗黙の了解のような考え方が存在しており、多くの場合はトラブルを大きくしたくないがために泣き寝入りを強要することもしばしばだ。


 私はこのような考え方が社会的弱者を増やしてしまう要因でもあると感じている。そして、自分よりも立場が下だと思うと自分が楽をしても良いと錯覚し、周囲に仕事をやらせることで責任回避に走るのだろう。


 なぜ、人は自分で責任を負うのではなく、人に責任を押しつけるのだろうか?


 考えられる要因として第1に“連鎖的個別基準習得”が挙げられる。


 これは大人から子供が言葉や行動を教えてもらい、それを真似することで使えるようになるという“行動心理学”と同じ原理だが、違うのは親の価値観を最初に覚えることで知っていることと親以外の大人から新たに知る事がお互いに合わさって徐々に価値観を形成し、1つの答えを導き出すのだが、すでに知っている親の価値観や誰も知らないことを自分で経験したときには違和感を覚える事も多々あり、どれが正しいのかを自分の中で判断する事は難しい場合が多い。

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