第13話:他責習慣化が生む悲劇 ③

後者はどちらかというと“周囲のイメージ”など自分の個人評価を気にする傾向や“誰に対しても分け隔てなく接することが出来る”という自分の長所として認めてもらいたいと思う事も影響しているだろう。


 特に受験になると受験生本人の人間性がその学校の目指す生徒像に当てはまるかも重視される項目になるため、周囲のイメージが悪くなってしまうと受験に不利に働くこともある。そして、今はSNSなど個人で発信できるツールも増えている事からこれらのツールを使ったいじめや他責行為、誹謗中傷などを行っていないかを調べる学校も多い。


 そのため、受験生だけではないが、SNSなどで他人によるなりすまし行為などが行われ、その行為によってその人のイメージを壊すような行動を取る人が周囲にいると取り返しが付かない事態に発展することも十分にあり得るのだ。


 現代において、自分の個人情報を自分で守らないと、公開した情報を簡単に悪用されてしまうだけでなく、本人アカウントやネットニュースの記事などの情報を基にしたデマや憶測、アイコラなどあたかも本人がやっているかのような画像や映像を投稿し、本人には身に覚えのない情報や写真・動画の投稿による一般ユーザー間での更なる憶測やデマの拡大、その情報を基にしたネット記事を書く記者さんが書いた記事が追い風となり、事実無根の情報の拡散スピードに関係各所の対応が追いつかなくなることも懸念されている。


 特に、いじめた・いじめられた経験のある人や感覚などが浮世離れしている人、人気の芸能人など少しイメージを悪くするだけで社会からの印象を落とせるという状況の人になりすまそうと思うといくらでもなりすませてしまい、本人の発信ではないにも関わらず、確率的には大きな損害を被らせてしまう日本のセキュリティやチェック体制の甘さがここに来て露呈し始めているのではないだろうか?と感じることもしばしばだ。


 しかし、こういう問題が出てきてもすぐに対処することをせずに放置されてしまい、運営側に損害が出てくるもしくはなりすまされた相手に損害が出てくるなど実害が出ないと動き出さないという懸念があり、これが受験生や就活生などのアカウントだった場合にその人の人生まで壊してしまう可能性があり、なりすまされた、乗っ取られたとしても自己責任を強調する人や運営者が多いのだ。


 私はこういう問題に対してきちんと関係各所が連携して解決しないと個人に対して損害を被らせたとしても「自分たちは逃げてしまえば問題ない」と思っていると次第に信頼を失い始めることや場合によっては被害届を出されて告訴(=提訴)される可能性もあるが、トラブルを避けたいと思う国民性がこれらの行動を抑制している状態になっている。


 現在は学校などでもICT教育のスタートに伴い、タブレット端末などを利用しているが、こういう端末でも気を付けなくてはいけないと思う。


 なぜなら、少し前に東京で起きたいじめ事件もそうだが、子供たちが簡単にやりとり出来てしまう上にいじめの温床になる可能性もあるため、知らない間にいじめがエスカレートしている事もあり得るのだ。


 そして、現在はタブレットだけではなく、スマホを持っている子供も増えてきているため、タブレットを使わずに特定の友人とやりとりをすることが可能となり、水面下でいろいろな事が出来てしまうのだ。


 その他にも中学生以上になると一部のSNSは利用可能年齢になるため、ネット上に悪口を書き込むことや悪意のある映像や写真を使う事に罪悪感を持たなくなる。


 これは社会に出てからも同じで、会社のスマホではなく、自分のスマホを使って他人の悪口を書けてしまうため、実態調査をする際に見逃しやすいのだ。


 そして、個人のやりとりなどは特定プライバシー保護法などで保護されていることが多く、むやみに第三者が見られるものではない。


 そのため、1度書き込まれてしまった内容を消すにはかなりの労力が必要になるだけではなく、実態解明を進めるにも法律の壁などが問題の前に立ち塞がることになる。


 私は実際に25年以上にわたっていじめられていたこともあるし、実際にネット上やグループチャットなどで誹謗中傷をされて心身共に病んだ事もある。


 その時「自分はおかしい人なのかな?」や「自分が何か間違っていたのだろうか?」など自分をかなり責めていた記憶がある。そして、今でもその時の記憶がフラッシュバックすることが多い。


 おそらく、長期間いじめを受けてきた人にとって社会というのは“恐い場所”という印象が強く、なかなか社会に戻れないし、戻れたとしても周囲の環境によっては勤続することは難しくなることも少なくない。


 では、これは誰の責任なのだろうか?


 私はどちらの責任でもないと思うが、あえて挙げるなら“全体”の責任だと思う。


 なぜなら、幼少期から同じ環境で育ってしまうと精神発達が不十分なまま大人になっていくため、問題が発生した時点で何らかの行動や意思表示を起こさないと周囲との“信頼関係が薄れていく→次第に不登校になる→1日中家から出られない→精神的に追い詰められて自殺未遂などを繰り返すようになる”という負のスパイラルが起きてしまうことになる。


 私は初期段階で何とか留まったが、いろいろな資料を見ていくと悪化していった子供たちは完全に立ち直ることが難しくなり、社会復帰が困難になっている、就職したくても就職出来ない状態にある子が多くを占め、いじめを受けた事があるが、就職出来た子供は少数だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る