第3話
人間の中には、特殊な称号を持つ者がいる。特殊な生まれだったり、特殊な力を持つ者をその称号で呼ぶそうだ。例えばとんでもない力を持った『勇者』とか。
聖女というのは『神に祝福された女』なんて言われており、普通の者ではまず使えない神聖魔法という物を扱える者に与えられる称号だ。ちなみにその名の通り
神聖魔法とは聖魔法の上位の存在であり、失った四肢を復活させる事もできるとか、死者すら蘇らせるとか言われている。聖魔法ではそこまではいかない。
その他魔物をも滅する事が出来る、とか言われているが……まぁこれは眉唾だ。例外として
「――聖女がどうしたって?」
「いや、俺も聞いた話なんだがな。人間共の間で『聖女が行方不明』って噂なんよ」
「この森に聖女がいるわけないだろ、普通に考えて」
「いやそれがな、この森に入ったのは確からしいぞ?」
ユニコーン曰く、聖女はいずれ訪れる魔王討伐の為と、この魔の森に入った事が聖女を有する教会とやらが報告しているらしい。入った理由は力をつける為やら、対抗する武具やら道具を作る素材採取やら色々言われている。
「……人は何故、魔王を討伐することばっか考えてんだろうなぁ」
「別に魔王、世界征服とか目論んでないのにな」
「魔王とか言っても魔人族の王ってだけだぞ? 別に魔族の王とかそんなわけじゃないし」
「そもそも今の魔王って結構な親人派だから近所の人間の村とかと普通に交流してるって話だぞ。村の幼女に『将来魔王様のお嫁さんになるー』とか言われてるって俺聞いたんだけど……あ、なんか魔王と敵対したくなってきた。貴重な処女奪いやがってあのイケメン」
勝手に敵対心を燃やしている
「敵対した所で普通に負けるだろお前」
「まぁな……っと、話が逸れたわ。で、聖女はこの森に入ったはいいが、出てきたって話が無いらしい。教会とやらもその辺りは濁してるらしく、人間共の間で『聖女は魔の森に囚われてる』とか噂になってるんだわ」
「囚われてるってなんだよ。戻ってこないなら普通死んだ、って思うだろ?」
「いや、人間共は『聖女様はそう簡単に死なない』って思ってるらしいぜ。んで件の冒険者達はどうやらその聖女様を助けに入ったらしい」
「……
「いんや、間違えて群れに入ったらしいぞ。後聖女を助けるってのも、仲間に引き入れるつもりなのと身体目当てらしい」
「なんだそりゃ」
「冒険者のオス共が言ってたんだとよ。『聖女様を助けるまで俺達は死ねない! 助けて俺達の仲間になってもらって、夜もその身体で癒してもらうんだ!』とか叫んでたって。まぁ結果メス共と言い争いになって、後は言わなくてもわかるな?」
「ただの馬鹿じゃねぇか」
「まぁ気持ちはわかるぞ。俺今の聖女の姿絵見た事あるんだけど、かなりの美人でな。清楚なくせして乳はでかいときた」
「まぁ、確かにでかかったな」
「ん? 何か言ったか?」
「いや?」
危ない。思わず口走ってた。ユニコーンは大して気にした様子ではなく続けた。
「絶対あれはオスを知らねぇぜ? そんなお清楚、汚したくなるのがオスってもんだろ! 俺の
「落ち着け万年発情馬」
本当なんでコイツ神聖視されてんだろ。
「だからひょっとしたらこの森に聖女が居るかも、って話だ。もし見かけたらすぐに教えてくれよな。羽生やして飛んでいくわ」
「お前
「絶対教えろよー!」と叫ぶユニコーンを無視し、荷物を纏めて俺は帰路へと着く。
――絶対言えないよなぁ、アイツには。
暫く歩いて、辿りついたのは丸太で作られた大きな小屋である。俺が作った、俺の家だ。
訳あって群れから離れて暮らしている。周囲に他の種族もおらず、静かなものだ。
「――ただいま」
扉を開け、声をかける。
「おかえりなさいませぇ♪」
――家の奥から、声が聞こえる。続いてぱたぱたと、奥から駆けてくる者――人間のメスであった。
「お疲れ様です♪ 食事の準備をする私を美味しくいただきます? お風呂で生まれたままの姿の私をたべちゃいます? それとも、寝室で愛を育みます……? オススメは寝室で――」
「飯食って風呂入って寝る」
何やらくねくねと身体をくねらせているメスを無視して家に入る。「あぁん酷い」とメスは言っているが、何処か嬉しそうだ。
――言えないよなぁ。
今ウチで保護してるこのメスが、聖女だなんて。
―――――――――――――――――――――――――
別モノ書こうとしたけど『コレジャナイ』感が凄かったのでこっちを更新させる事に。
結構急いで書いたので修正するかも。
まぁ元々設定なんて練ってるわけじゃないからガバなんですが。
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