第2話
血抜きが終わり、
火起こして焼くか聞いたが、
「あー食った食った。やっぱ肉と
口元を赤く染めながら、何やらほざいてる。人間が見たらどう
「あ、そういや思い出した。この間オークの群れのとこ呼ばれて行ってきたんだわ」
「群れ? 俺の知っている所か?」
「そうそう」
オークも村のような
「何でも冒険者が入り込んで襲ってきたのを返り討ちにしたって話でよ」
「冒険者か……」
冒険者。人間の中で腕に覚えがあり、魔物を狩ったりする者の事を呼ぶらしい。
この魔の森は冒険者達には狩場らしく、ちょくちょく侵入し――運が良ければ生きて帰ってこれる。
実際は己の実力を過信した者も多く、大した力も無く相手の力量を見極める事も出来ず、大物に手を出して命を落とす者を多々見てきた。
それでも命をかける価値があるようで。人間にとって魔物の身体は武器だったり衣類だったりを作る貴重な『素材』になるらしい。
ちなみに
「お前が呼ばれたってことは、誰か怪我でもしたのか?」
一応この発情馬、怪我や精神を癒す人間でいう所の『聖魔法』というものを使える。その為何かあると種族問わず呼ばれる事が多い。
「いんや。怪我した奴はいやしねぇ。正直雑魚だったとさ」
「ということは……居たのか?」
「ああ、全部で10人くらいのパーティだったらしいが、女が3人とか? 俺が呼ばれたのもその関係よ」
「そう、か……『種付役』は大丈夫、だったのか?」
「あぁ、身体の方は問題は無いが……精神面がな……発狂寸前だったが、まぁとりあえず大丈夫だろう」
「そうか……」
オークの出生比率は9:1というレベルでオスばかり生まれる。メスが生まれるのは奇跡に近い。
しかしそれでは繁殖が出来ず、どんどん種族数が減っていってしまう。これが割と深刻な話で、人間共が襲ってくるせいもありオークの数が近年減っていっているのである。
その為かどうかはわからないが、
なので襲ってきた人間達を返り討ちにした際、メスが居た時は繁殖目的の為捕らえている。襲ってきたのは向こうなのだから、文句は言わせない。
流石にオス相手を孕ませるのは無理だが、メスであれば問題ない――いや、一つ大きな問題がある。
「しかしお前らも難儀だよなぁ」
「仕方ないだろう……種の存続の為だ」
それは、オークにとって人間は
いや、良く考えてみてくれよ。人間だぞ? 無理無理、勃たないって。
アイツらも
メスオークはオーク種の中でも上位――オークロードやオークキングといった存在にあてがわれることが多い。純血種を残したい、というのもあるのだが、メスオークは美形なのだ。
それに数少ないメスオークに産んでもらうにしても、オーク全員相手にしてその全員の子を産む体力なんてあるわけがない。だが増やさないと絶滅してしまう。
そこで仕方なく人間を使って繁殖しているのである。種の保存の為、仕方なく。
若きオークたちの中から勇敢な『種付役』を選び、無理矢理
理性を草で失っても、本能が嫌がって嘔吐する者が多い。それを無理矢理抑え込んでいるのに、人間のメスときたら
「こんなオークなんかに……」とか
「こんな辱めを受けるくらいなら死んだ方がマシよ!」とか
「オークの子なんて産みたくない!」とか……それはもう酷い罵詈雑言の嵐である。俺もやったことがるが、今思い出しても
「くっ……殺せ! オークに汚されるなんて生きていけない!」だもんなぁ……
草の副作用で肉体面のダメージも大きいが、それ以上に精神面が酷い事になるのでユニコーンに何とかしてもらっているのだ。
「まぁ、同胞を助けてくれたことは感謝する」
「あぁそれはいいんだがな、ちょっと面白い話もあったんだ」
「面白い話?」
「オークの。お前、人間の『聖女』って知ってるか?」
「……『聖女』?」
俺は思わず、顔を顰めた。
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