最終話

花火大会の日を境に、付き合うことになった俺達だけど、幸せを噛み締めていられたのもほんの一週間程だった。夏休みが明けたらいよいよ文化祭準備が本格的に始まったからだ。


結果から言えば、俺達のクラスは売上ダントツトップとなり、模擬店と総合でグランプリを受賞。高校生活を締め括る最高の結果だった。

文化祭についての詳しい話は、Girl's side6へ。笑


文化祭の後は、気持ちも落ち着いてきて、受験に集中することができた。

受験前の最後の実力テストでは、俺は学年5位まで順位を上げた。(夏織は7位、恒星は9位だった)恒星は、やっぱり出来が違うんだろうと思った。あいつは確か、夏休み前のテストでは学年30位くらいだったはずだ。一般入試の頃には俺なんかよりずっと点数をとっているだろう。

指定校組の俺と夏織は、二人揃って志望校に合格。春からは晴れて大学生だ。


俺は、大学生になったのを機に学校近くのレストランで調理のバイトを始めた。

【レストラン・ビアンコ】

後で知ったことなのだが、このレストランの系列店舗が地元の小山市にあり、そこではなんと山本さぎり(恒星の彼女)がバイトしていたようだ。

俺は、ここでのバイト経験で調理の楽しさに目覚め、大学でスポーツ栄養学を学びながら、系列の専門学校の授業を履修して調理師の免許を取得した。


夏織は大学でも吹奏楽部に入り、俺も剣道部に入った。

高校時代からのライバルだった岡田選手や、関東大会で敗れた選手とも試合で何度も再開を果たし、改めて剣道の楽しさと厳しさを実感した。


学校生活、部活、バイトと忙しく、大学の四年間は本当にあっという間だった。

今となっては、他人に期待をせず、必要最低限だけ関わって生きていたあの頃が懐かしい。


あの日、恒星から夏織の話をされなかったら、俺が文化祭実行委員を引き受けなかったら…。そう思うと、あの時引き受けて正解だったと思う。

これも後日聞いた話だが、どうやら恒星はいつか夏織に俺を紹介するつもりだったようだ。本当に、変わったやつだな。


確か、恒星は大学では音楽教育を専門に学んでいるはずだ。なんでも、在学中にいくつもの快挙を成し遂げたんだとか。

すごいやつだ。自慢の友達だよ。




夏織とは、大学在学中もずっと仲良くやっていた。

俺は、大学卒業後はバイト先のレストランに正社員として採用された。

今いる店舗の店長が、いずれ東京の店舗に移るため、その後釜として雇われたわけだ。

これから、このお店が自分のお店になると思うととても楽しみだ。










就職後、数年たった今日、俺はスカイツリーにある天上レストランで、夏織を待っている。

今日は、隅田川の花火大会だ。

俺たちにとって、花火は特別なイベントだ。

俺は今日、日本で一番高いところにあるレストランで、花火を見ながら夏織に言うことがある。


































『夏織、今まで俺と一緒にいてくれてありがとう。これからも、ずっと一緒にいてほしい。俺には、夏織が絶対に必要だって、この7年でよくわかった。』
































『結婚しよう』





















結果、OKをもらって、今も仲良く暮らしている。

2人の子供にも恵まれ、幸せいっぱいの家族だ。

今住んでいる家は、夏織の設計だ。本当、誇れる奥さんだ。




「肇、また昔の日記を読み返してるの?」

『うん、なんだか懐かしくてね。それに、何度読んでもいいもんだから』

「そうね、私達の人生は、全部あの時から始まったのよね。」

『夏織、今度、皆を呼んで、食事でもどうだろう?皆子育ても落ち着いてきた頃だろう?』

「そうね、それならいっそ、クラス会にしたらどうかしら?」

『そうだな。じゃぁ、久々にコンビ結成してやろうか!今度は、クラス会実行委員だ!』

そう言って2人で笑った。

まるであの頃みたいだ!


皆、最後まで俺達の物語を読んでくれてありがとう。

学生時代のイベントは、その時はなんでもないと思っても、大人になって思い返してみれば、すごくいい思い出になるんだ。

だから、正直だるいと思っていても、絶対に全力でやったほうがいい!!

友達や、もしかしたら俺たちみたいに一生大事にできる人が見つかるかもしれないしな!

そう、俺達のきっかけは

































文化祭実行委員!!

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文化祭実行委員-Boy's side-「君との恋の物語」spin-off 日月香葉 @novelpinker

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