第3話
大河内。
大河でもいいのに大河内。
なんなら河内でもいいのに、大河内。
いっそのこと大内でもいいのに、大河内。
そして「おうこうち」ではなく、「おおこうち」。
でも。
「かわうち」ではなく「こうち」。
「かわち」ですらなく「こうち」。
どうして、「大河内(おおこうち)」なんだろう。
なんとなくだが、漢字三文字、ひらがな5文字という苗字は何故かしらん、上流家系な気がしないだろうか。
例えば神宮寺とか豪徳寺とか二階堂、貴宝院、五影堂、若王子・・・まあ、なんとなくだけど。
ドラマだったら華族とか探偵とかなんかそういう感じがする漢字三文字の名前・・・まあ、勝手なイメージなのだけれど。
でもその中に大河内が入ったらどうだ。決して華族でも探偵でもなく、分家して本家の遺産を狙う腹黒狸おやじ感がでないだろうか。まあ、本当に勝手なイメージなのだが。
だからと言って、別に氏の起源が知りたいとか、そういう興味は全くなかった。先祖代々の古い家系なわけでもないし、僕の両親が結婚するより前に他界していたという祖父やそれ以前の先祖を遡るようなそういう意味での「大河内家」について何らかの関心があったわけでもない。自分のルーツ云々を知りたいと思うわけではなく、どういう経緯で「大河内」を名乗るようになったのかというヒストリーなんぞ何の興味もわかなかった。
引っかかりの原因は、「僕が大河内であること」じゃないんだと思う。単に、ただ単に、「大河内」という字面が、どういえばいいのかわからないのだけれど、なんとなく、気になるだけなんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます