第16話 理想の風景


「わっ!」 



 ドンッ  



「大変!大丈夫!?怪我はない??」




ブランコでどちらが遠くまでジャンプ出来るか勝負していたクレアとシノア



想像以上に飛んでしまい、着地に失敗したシノアは転んでしまった



「いたたた、、、」



「シノア!膝が擦りむけてるじゃない!」



「、、足首も捻ってしまったわ、うっ、、」



シノアは足首を抑え、今にも泣きそうな顔をしてた



「ちょっと待ってて!チャドを探してくる!!」



クレアは集落の広場のどこかにいるはずのチャドを探した。すると、どこからか花びらと風が吹いてきた。その方を向くと、



「はぁ~綺麗♪」



「ほんといつ見ても綺麗ねぇ♪」



数人が並び、大きな木の上の方を見上げていた。クレアも上を見てみると、木の枝に座っているチャドがいた



チャドの横には小動物達が並び、空中には花が舞い、それは様々な形に変化をしてその中で鳥達は歌いながら優雅に舞っている



「チャド!ちょっときて!シノアが大変なの!」



「シノアが?すぐ行くよ」



いつものように左手にふぅ~っと息を吹き掛け、その風はャドの体を包み込み、チャドの体はふわっと浮き上がった



そのままクレアの元にたどり着くと、優しくトンっと着地した



「どうしたんだい?」



「シノアが転んで怪我をしたの!」 



「え!?すぐいこう」



二人はシノアの元に急いだ。そこにはまだ痛みでうずくまっているシノアがいた。



「シノア 傷を見せて」



シノアの傷を見たチャドは左手を口元に寄せた



ふぅ~



黄色い風はシノアの怪我の部分を包み込み、すぐに消えてしまった。するとシノアの足の傷は消えていた



「いつもありがとう♪足首の痛みもなくなったわ♪」



「なんともなくてよかったよ^-^」



「チャドほんと凄いよね~!チャドが居なかったら私達全身アザまみれになってるとこだわ」



「わ.た.し.ね!たまたま怪我をしちゃったけど私はクレアみたいにおっちょこちょいじゃないもん」



「そうかなぁ?僕から見たらシノアもおっちょこちょいだと思うけど?」



「あ!言ったなぁ!そんな意地悪言う子はこうよ!」



シノアは両手でチャドの脇をくすぐりはじめた



「だ、だめだってww僕脇が弱いんだってwww」



「知ってるわよ♪コチョコチョ♪」



「だ、だめっwwwwww」



チャドは転げ回り、シノアはしつこくコチョコチョしていた。気が付けばクレアもこっそりコチョコチョしていた









仲良し3人組は、ある洞窟にやってきた。



「ここはなんだい?」



「この洞窟はね」



【音が降る洞窟】



「って言うんだよ」



「音が降る?なんだいそれ??」



「ん~私達もよくわからないんだけど、そう呼ばれてるんだよね」



「ふ~ん。で、ここでなにをするの?」



「ここの中に綺麗な石があるらしいのよん♪」



「別に危ない場所じゃないらしいわよ」



「綺麗な石、、ね。そんなのどうするの?」



「えぇ~?!チャドは欲しくないの?!綺麗な石だよ!??綺麗なんだよ!?」



「でも石だよね」



「もぉぉぉチャドにはロマンが足りないわね~」



「そうよチャド。綺麗な石はロマンよ。」



「???」



3人は洞窟に入った。中には光苔などがあり明るい。途中幾つかの道に別れていた。



「なにか迷路みたいで不気味だね、、」



「大丈夫よ。全部一番左に進めば目的地にたどり着くって言ってたわ」



「誰に聞いたんだい?」



「私のママからよ」



そう得意気にシノアは言った。クレアは、オォ~と拍手をし、チャドはそれを聞きながらキョロキョロ洞窟内を観察していた



なにか風の山と同じ雰囲気を感じたらしく、なんなんだろ?といった感じでくまなく見回した




「あれ?」



チャドが地面を見るとそこには不自然な模様があった



どこかで見たことあるような模様



そうそれは風の山にある模様と似ていた。しかし微妙に違う。奇妙だな、と考えていると



「チャド!なにしてるの?早く行くよ」



そう言い、クレアとシノアは左の道を進んでいった



その足元の模様は右の道に続いていた、、、




ひたすら左の道を進み、目的地に辿り着いた



その場所はこじんまりとした空間だったが、湧き水がたまっており、その中に幾つもの石があった。そのどれもが色とりどりで目移りをしてしまう



「わぁ~!!綺麗っ♪!」



「ほんと素敵ね、、♪」



「そだね」



3人は色々な石を物色



「どれにしようか♪ねぇチャド♪」



「どれでもいいんじゃないかな」



「はぁ~悩んでしまうわぁ~♪」



「そだね」



チャドは適当に石を拾い、臭いを嗅いでみたが特に臭いをもしないためぽいっと放り投げた



「そうだ!これにしない?」



クレアは足元の水の中から丸い紫色の小石を拾い上げた



「これ!チャドの瞳と同じ色でしょ♪チャドにあげる♪」



「あらいいわね♪じゃあ私達も赤色と青色の小石を探しましょうか♪」



クレアの瞳は赤 シノアの瞳は青



「私達も同じ紫色の石にしようよ。だって赤と青を混ぜたら紫色になるもん^-^♪」



「いい考えねぇ~」



そう言うと2人は紫色の小石を探しはじめた



チャドは渡された紫色の小石をマジマジと見つめ、綺麗かも、、と思っていた



「みんなお揃いだね♪」



「そうだね。綺麗な石も悪くないね♪」



「それよ。それがロマンよ♪」




3人はその石を持ち帰り、それを加工してアクセサリーにした



クレアとシノアは紫の石をはめた指輪を作り、同じ左手の薬指につけた



チャドはピアスにしようとしが、イヤリングの方が可愛いわよ!ってワァワァ言われたのでイヤリングに加工し、それを両耳につけた



「わぁ~お!チャド似合ってるぅ!」



「もっと可愛くなったわね♪」



「、、、テレッ」



「私達も見てぇ~可愛いでしょ♪」



「うん♪2人共素敵だよ^-^」





理想の風景 日常の幸せ 当たり前の日々



ずっと当たり前に続くと思っていた



でも.....
















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