第7話 突如現れた人影



クレアが振り向いたその先には、大きなつむじ風が白い尾を引きながら舞っていた



その中にぼんやりと人影が見えてきた



「シノア あれはなんなの、、?」



「さっきまでは誰もいないと思ってたのに、、」



風が収まり、人影はハッキリと姿を見せていた



初めはうなだれたように立ち尽くしていたが、ゆっくりと頭を上げるとクレアとシノアの方に視線を向けた



ぼんやりと見つめたと思いきやなにか不思議そうにキョロキョロと回りを見渡していた



「ねぇ。あなたはだれ?この山の神様?」



クレアはその人に語りかけた



話しかけられた人物は驚いた表情で、またキョロキョロしだした



「あなたよあなた!」



シノアは指を指し示した



「ぼく?」



その人物は自分を指差し不思議そうに問いに答えた



「そうよ。いつからそこにいたの?」



「.. . .わからない..かな」



「はぁ?」 



「じゃあ あなたの名前は?」



「... チャドでいいよ」



「じゃあチャド あなたはこの山の神様?」



「え?.. .違うと思うけど、、」



「じゃぁ怒ってないのね?」



「え??別に怒ってないけど??」



「ちょっとクレア!なに聞いてるのよ?」



「だってぇ あの果実を勝手に食べたから怒って私達に言いに来たのかと思っちゃった」



「あ~なるほどね」



「あの実を食べたんだね...」



チャドは2人に静かに話した



「うん!食べっちゃった♪」



「とても美味しかったわ♪もしかしてあなたのだったかしら?」



「いいや。僕の物じゃないよ」



チャドは儚げに微笑んでいた



「もしかしてチャドも食べたかったの?」



「いや、そうじゃないよ。君達2人があの実をたべたんだ。ただそう考えただけ」



「「???」」



どうにもチャドの言い回しが気になるが、他意はないようだ。不思議に思いながらも2人はチャドを見つめていた



髪の毛はボブの気持ち長めくらい。全体的に黒っぽく見えるが光の加減では発色したグレーにも見える



所々跳ね返っている猫毛



淡いクリーム色の上下に同じ色のポンチョみたいなのを羽織っていた。所々に赤と黄の模様がある




「チャドは一人でここに来たの?」



「そうだよ」



「いつからそこにいたの?」



「ついさっきだよ。頭を撫でていた位かな」



「ふ~ん。なんで話しかけてこなかったの?なにをしにきたの?!あと、、、」



突然あらわれたチャドに興味深々で質問が止まらないクレア。そこに割りいる形でシノアが話す



「私はシノア。この子はクレアよ。」



「そうなんだね。はじめまして。よろしくね」



「よろしくおねがいします♪仲良くしようね♪こっちで話をしようよ^-^♪」



無邪気に微笑みかける クレア



少し警戒している シノア



そこにゆっくりと近寄る チャド



合流したあと、三人はその場に座り、話し始めた



「チャドって私達と同じ位の背だね!何歳なの?」



「ん~忘れちゃった」



「えぇ?そんな事あるぅ?」



「そう言われても、、、」



「15歳くらい?私は15歳だよ^-^」



「私は16よ。まぁ同じ位でしょうね。でも自分の歳位ちゃんと覚えてなさいよね」



「そうだね。ごめんね」




シノアも色々と質問をしたり話を聞くうちに次第に打ち解けていった



でもチャドは所々忘れた。覚えてない。などと、とぼける所があるので釈然としない気持ちは少し残っていた



クレアはと言うと、疑うことなく聞きたい事を聞いてチャドに興味深々なご様子。ケラケラと笑っていた



「チャド!私達もう友達よね♪」



「そうよね。風の山の上で偶然に出会ったけど仲良くしましょうよ♪」



「うん。ありがとう。よろしくね」



チャドは笑いながらそう言ったが、少し寂しそうな、、儚げな表情を一瞬見せた



シノアはそれを見ていたが、なんとなく見てないふりをした



「今度私達の家に遊びにおいでよ♪」



「うん。遊びにいくよ」



「場所わかるかなぁ?森の奥深くにあるから、、」



「さっき話を聞いてなんとなくだけどわかるから大丈夫だよ」



「うん!いつでもいいから遊びに来てね^-^」



「さ~て、ずいぶんと長居しちゃったわね。そろそろ帰るわよクレア」



「ほぉ~い チャドも一緒に降りようよ」



「ぼくはもう少し休んでから帰るよ」



「そっかぁ わかった!それじゃあねチャド!」



「バイバイ クレア シノア」




そう言うと2人で山を降りた



山から一歩踏み出した瞬間に風が吹きだした



「あら?そう言えばチャドと別れて降りてる最中は風が無かったわね」



「気にしてなかったけど、そうだね。それになんかふっと現実に戻った感じがするね」



「不思議な果実があったし、チャドにも出会うし、、ほんと不思議な山だったわね」


「うん!不思議だけど楽しかったね♪」


「そうね♪楽しかったわね^-^♪」




ぼぉーっと風の山を見上げ物思いにふけり




満足したらヒラリときびすを返し




二人は足早に家路についた



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