第5話  頂上


風の山の山頂に辿り着いた



二人が歩いて辿り着けたのだからそこまで険しい道のりではないのであろう。もしかしたら不思議な力がそう感じさせてるのかもしれないが



山の高さ、大きさと食い違ってるかの様に山頂は平らで広い。こんなに大きい山だった?と感じるくらい広い空間がそこにはあった



「なんか広くない?広すぎない?!」



「ほんと広いねぇなんでだろうねぇ♪」



地面を見るとなにか模様のような物が目にとまった。よく見てみると、舗装された道のようになっていた



「こ、これは!?なにか導かれてる気がする!♪」



「う~ん、、誰が何の為に?とりあえずこれを辿ってみましょうか」



登り着いた直後なのだが不思議と疲労はなかった。体も軽く感じるし気温の変化も感じない。言われてみれば肌寒いかな?と思う程度だった



辺りにはなにもなく広大な空間。ここまで来た二人にはだんだん疑問すらどうでもよくなっていた。それに勝る好奇心によって、、



歩き進んで行くと、先程までなにもなかった用に見えた地面が消えてゆくように見えはじめ、突如クレーターの用な地形が現れた



「あれ?なにか凹んでない?気のせいかな??」



「私にも見えるわよ。なにかしらねぇ」



近づくと大きな緩やかな窪みがあった。まだ地面の模様が先に続いていたため、それを道標に窪みを降りていった。



「あれぇ?窪みの真ん中変になにかあるよ!」



そう言うとクレアは駆け出し、窪みの中心にある、なにかの前に着いた



「おぉ」



「待ってよクレア!」



シノアも駆け出し、少し遅れて辿り着いた



「あら、これは、、なに?」



「ん~なんだろ?!でも綺麗だね♪」



クレーターの中心部



そこには少しの段差があり、丸い盆状に地面が競り上がっていた。その上は苔(こけ)の様な緑に覆われていて、その中心には丸い物体が置かれていた



クレアが始めに見た時は濁った茶褐色の様に見えた色は、シノアがたどり着く頃には鮮やかな光を放っていた



「ねえ シノアにはこれが何色に見える?」



「それが不思議なのよ赤にも見えるし青にも見えるし、、、」



「よかったぁ~私だけかと思った!なんか色が変化してるように見えるんだよね」



「私も同じよ」



それには定められた色は存在しておらず、気がつけば黄色、次の瞬間緑色とゆらゆらと光を放ちながらそこに存在していた



「はあ~なんか不思議~♪」



「そうねぇ~なにか不思議だけど、、綺麗だわねぇ」



「まるで夢でもを見てるかのよう、、、」



グニッ!



「いたっ!なにするのよクレア!」



「いや、夢じゃないかなと確認したくて」



「自分のほっぺをつねりなさいよ!もぉ」



「ごめ~ん 許してよぉシノア~^-^」



そう言うとクレアはシノアの頭を軽く撫でた。「もぉ!」とシノアは怒って見せたが、口元がにやけてしまう



シノアも頭を撫でられるのが好きらしいのだが、クレアが中々髪を触ってくれないので欲求が溜まっていたようだ



にやけたシノアの口元を見たクレアはここぞとばかりにシノアの髪をワシャワシャし始めた。ワシャワシャ♪していたらシノアが恍惚の表情で悶えはじめたのでそっと手を離した。。。



「で、これはなんなのだろうか?」



「...ふぅ。そうね。なんなのかしら?」



二人は顔を寄せ会いながらその光を放つ物体に顔を近づけた。するとふわぁ~っと香りがただよってきた



「ん?なんか良い香りがしない?」



「ほんとだ。なにかローストされた用なかぐわしい香りね♪」



「あれ?私は大好きなラズベリー見たいな甘い香りがするよ♪」



「あら。色と同じで、香りもお互い違うのかもしれないわね」



匂いが違うとか色が違うとか些細な違いは、ここまで来た二人にはどうでもいいことだ



グゥ~



二人同時にお腹の音が聞こえた。辺りは風もなく音もない為はっきり聞こえた



「なんか急にお腹が空いちゃった」



「私も。さっき木の実を食べたのに」



2人に魅力的な光と香りを放つ物体に釣られて二人は呟いた



「、、これって食べれるのかなぁ?」



「え?食べれるわけない、、、しかしいい香りね、、、」



香りを体に吸収する度に空腹度が増してきている



「ねぇ、食べてみようよ半分づつ♪」



「え~毒があるかもしれないわよ?」



「大丈夫だよ。私達普段いろんな木の実をつまみ食いしてるじゃん?不味かったりヤバかったら吐き出せばいいだけだよ♪」



「そんなのだめだよ!、、、って言いたいけれど確かに食べてみたいわねぇ♪」




よくよく考えれば、、、



ここはあの  風の山



その山頂にある奇妙な空間で見つけた謎の丸い物体。子供の拳位の大きさだろうか。



それを触り、ましてや食べるなんて普段なら思いもしないだろう。しかし、



二人はいつしかそれを忘れ




目の前の神秘的な香りを放つ物体に





夢中になっていた

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