第35話 卒業式
卒業式。詰襟をきちんと着て配られた胸花を付ける。
俺の前で卒業生入場を待つ戸村が、
「タケちゃん、明日から学校どうする?」
と聞いてきた。そう、今日が卒業式だが、国立大学の前期試験の合格発表はまだで、万が一に備えて後期試験に向けて勉強はしつづけなければならない。高校はそんな受験生を支えるため、自由登校になっており自習室や教室で勉強したり先生に教えてもらう事も可能だ。特に論文や面接試験が試験項目にある生徒は必死だ。
「うーん。俺は後期は数学と英語なんだ。通学時間がかかるからな。あんまり来ないかも。」
「そっか。あのさ、お互いどうであっても教えてね。」
「ん。だね。」
そんな話をしていると前が動き出した。入場だ。
卒業式が終わって最後の学活が教室で行われた。記念撮影もおわり、名残りおしげに皆がどう帰るかもたもたし始め業を煮やした保護者に連れ去られる者も現れた。
「タケちゃんどうするの?」
「んー。母さんは仕事があるから、卒業式終わったら速攻で帰っちゃったんだ。俺は電車乗り継いで帰る。」
「じゃあさ、最後の晩餐じゃないけど、あのコンビニで乾杯してから帰ろうよ。」
「うん。」
そんな話をして戸村と2人で帰るために腰をあげると、
「いたいた、平原くん!」
山口さんだった。
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