第46話 スピンオフ 科学部の観月会1


 ここA1高校科学部には厄介なOBがいる。戸村先輩と呼ばれている彼は理科室4(いわゆる化学室である)で料理をする事をこよなく愛し卒業して近くの大学に進学した今でも彼の中で行事だと思った時に現れて料理をして振舞っていく。


 厄介なことこの上ないのだが、実験テーマへの助言、パソコンや情報系に通じているため、その辺の困り事にも対応し、生徒達の悩み相談もさりげなく行うなど先生達の信頼が厚く出禁にするわけにもいかないのだ。


 現在の部長、如月明きさらぎあかりは九月も半ばになって寒気を覚えた。


「暑さ、寒さも彼岸までって。秋風のせいか?いや、違う。彼岸ってイベントじゃない?戸村先輩がやってくる?いや、中日は休日だから、学校は休み。大学は?戸村先輩の大学の夏休みっていつまでだ?」


「珍しく取り乱してるな。彼岸入りは昨日だ。おはぎかな?戸村先輩。」


甘いものお腹に溜まるたまるものが大好物の如月の相棒佐田さたは全然気にしない。


「戸村先輩には、予告してから来て下さいっていつもお願いしてるのに、突然現れるからいろいろ心理的負担が。」


「あれ、知らないの?俺が学校のホームページに勝手にリンク先を貼っつけた科学部のホームページのツ○ッターに、科学部、仲秋の名月観測会のところに、」


そんな勝手な操作を佐田のやつと如月が思っていても構わずに画面には


『18時からねー、戸村15時から準備頑張ります!』


「ほらっ、予告」


部長は知りません。そんなページ。如月は叫びそうになった。

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