第4話 ある愛の形
家の中に居る時だけなのだけれど、
ボクは女の子の服を着ている。
修ちゃんが買ってくるんだ。
パンツも女の子のパンツだ。
髪の毛も肩まで伸ばしているから
学校の制服を着ていても、
よく女の子と間違われる。
この格好で外に出たら、誰も男の子だとは
思わないだろうな~
仕事から帰って来ると、
修ちゃんはボクを抱きしめて、
キスをして、
スカートの中に頭を突っ込んで、
暫くじっとしている。
ボクはスカートの上から修ちゃんの頭を
撫でてあげるんだ。
それからまた暫くはボクを眺めている。
くるっと回転したり、
アイドルみたいなポーズをしたり。
それを嬉しそうに見ているよ。
とても嬉しそうに見ているんだ。
その時の修ちゃんは細い目がキラキラして可愛らしいんだよ。
だからボクも嬉しくなるんだ。
月に一度、修ちゃんは日曜日に休めるようになったよ。
店長さんがボクの為に休みを呉れたんだ。
その日は映画を見に行ったり、
動物園に行ったりするんだ。
一番好きなのは百貨店だね。
少しだけ買い物をしてから屋上へ行く。
小さな遊園地があるからね。
大食堂でカレーライスを食べて、
修ちゃんはビールを飲んで、
それから帰る。
でもちょっと困った事があってね。
お巡りさんが居ると、決まって呼び止められるんだ。
修ちゃんを見つけると、
じぃ~っと見て、
それから近づいて来て、
「あぁ~ちょっと。」
って言うんだよ。
いつもそうなんだ。
記録は一日に4回。
行きに1回。
帰りに3回。
「俺ぁ人相悪いからな~」
って修ちゃんは言うけれど。
そうかなぁ~?
細目のネズミ男みたいで可愛いけどなぁ~
「修ちゃん大好きだよ」って言うと、
ちょっとだけ目が大きくなるんだ。
ちょっとだけね。
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