第17話〜2つ目の迷宮〜

———— ここは、タルタロスの中心に位置する“塔”の第10階層。迷宮会社“ドリームラビリンス”が開店を明日に控える迷宮の従業員部屋。


 高画質モニターが10個以上も壁に備え付けてある。部屋の中央に置かれた長机にノーマンたちが座っていた。


 「おっほぉっん!!では、第10階層の迷宮について会議を始めます!!」


 ホワイトボードの前でオブライエンが、司会をする。


 「まず、クリア報酬は、コルドーさんに用意していただいた“九龍の宝玉”です!」


 ノーマンの隣に座るコルドーに向かって皆がお辞儀する。コルドーは照れ臭そうにしていた。


 「次にボスは、蜘蛛人アラクノイドのクモ子さんにお願いします!宜しくお願いします!」


 「オブ君も子供たちの送迎宜しくね。」


 そう言ってクモ子は、姿勢正しく皆にお辞儀する。


 「それで、今回は森のフィールドが付いていますので、昆虫型の魔物とキノコ型の魔物を50匹フィールドに放します!他の通路部分には、スライムたちと蝙蝠型の魔物メインでいきます!」


 「オブ。それじゃあ、あんまり難易度高くなくねーか?」


 ゴンゾーが、詰まらなそうに意見する。ちなみにゴンゾーは、第一階層のボスを引き続きするので、第10階層の迷宮の話になると最近、拗ねるようになった。


 「ふふふっ。ゴンゾーさん!心配無用です!今回フィールドに放つ昆虫型の魔物は、なかなか良いのがいるんです。」


 「そ、それならいいんじゃないか....」


 オブライエンが、怪しい笑みを浮かべたのでゴンゾーは、少し気味悪く感じた...


 「それで今回は、クリア報酬のを全面に出した貼り紙とMayotterマヨッターを使い、前回のようなオープンは、何としても避けます!!」


 コルドーとクモ子は、前回オープンがどうだったか知らないので頭の上に疑問が浮かぶ。


 初めての迷宮、オープン日に来客したパーティーは2。ゴンゾーもノーマンもオブライエンも2人には、敢えて説明しなかった。


 説明したくなかった...の方が正しいだろう。


 「簡単な説明は終わりです!では、最後にノーマンさん!どうぞ!」


 オブライエンの言葉に少し照れ臭そうに反応するノーマンは、席を立つと一度咳払いをして声を出した。


 「最初の迷宮からもうすぐ一年が経とうとしているが、こんなに早く2つ目の迷宮を作れるとは思ってなかった。みんなありがとう!とにかく、今回はから成功させるために頑張ろう!もう2度とあんな思いをしないために!」


 ノーマンにしては、珍しく声を張り上げる。オブライエンとゴンゾーは、力強く片腕を上げ、呼応する。


 「おーーーー!!!!」


 (な、なに?なんで急にこんな熱い雰囲気なのかしら?)


 (ノ、ノーマンがみんなを盛り上げようとするなんて....最初の迷宮のオープン、何があったんだ...)


 クモ子とコルドーは、いまいちこの場の空気感を掴めず、呼応した。


 「お、お、お〜〜....」



 その夜、オブライエン、ノーマン、ゴンゾーの3人はSNSでの集客に着手する。ノーマンは自分のチャンネルで宣伝をし、ノーマンとオブライエンは、Mayotterマヨッターで発信する。


 『明日オープン!クリア報酬は、あの”九龍の宝玉“!?第10階層”森の迷宮“ぜひ来てね♪——迷宮会社「ドリームラビリンス」』


 コピーライティングのセンスは、2人ともなかったが、とりあえず精一杯発信した。


 そして、オープンの日を迎えるのであった....




 

 

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