第36話・めっちゃくちゃ喜んでもらえた。
「あ~ん、ぱーどぅん?」
「くぁzwsぇdrfgt6ゆjきおlp;@・」
「おーのー、りありー?」
「久慈川氏」
「¥@:・;pぉきじゅtghvrfc」
「おーいえすいえーす、地球激やばですよー」
「ちょっと久慈川氏!」
「なんだよ誌記。今いいところだったのに」
「漫画で言ったら最終決戦なんですよ! 宇宙にまで来てわざわざギャグパートに押し戻さないでください!」
「普段からボケまくってるお前にゃ言われたくねぇよ!」
「いいじゃないですか普段は! どうせ久慈川氏、ギャグ漫画みたいな人生歩んでるんですから!」
「いーや! お前らみたいな連中に会っちまった時点で十分過ぎる程ホラー漫画だ!」
「こんな可愛い子が出てくるホラー漫画なんてただの青年誌、いや同人誌じゃないですかヤダー!」
「ヤダーはこっちの台詞だ! な、アルテミスさん」
「。ざplqs、っhx、sklpるgv」
「だーかーら! その異国の神と無駄に仲良くなるのやめてもらえます!?」
「いやさー結構英語とか頑張ってたんだけど、こうやってコミュニケーションとれるとマジで勉強しといて良かったなぁーって思ってな」
「うぇdsfrdhckぽdsふお;」
「うぅ、心なしかアルテミス神も嬉しそうに……楽しそうに見えますね……」
「日本の若者と話すの初めてなんだと」
「そりゃこんな異常事態じゃなきゃ、久慈川氏みたいなミジンコでは一生会えなかった程のとんでもねー女神ですもん」
×
浮世が連れ去られ、リジュがそれを追い、一人うなだれていた時に現れた誌記。一応こいつの言葉がきっかけとなり、私には私で、できることがあるんだと自覚できた。
それは頼ること。
まず最初は、誌記に、浮世レベルの神様に会わせてくれと頼んだ。
すると「えっ? 日本にはそんなレベルの人他にいませんけど……」なんて、にべもなく断られた。
この時ばかりは(別にこの時ばかりじゃないが)なんだコイツとは思った。散々頼れって言っておいて。いざ頼ってみたらお前、なんだお前、的な。自分の無力についてはもう全力で棚上げすることにした。
しかしながら誌記は私をバカにしたように見下した後、ニヒリと笑って続ける。
「ふふっそれでもですね久慈川氏、私は、私自身は非力ですが、コネ力に関しては他に類を見ないレベルで強固なんですよ」
「ほう」
確かに、日本で最高レベルの浮世とコネクションがあるなら、まぁなくはない話なんだろう。
「アルテミスさんという、そりゃあまあ凄い人がおりましてね」
んっ? どこかで聞いたことがあるような名前だ。どこだっけか……、ああそうだ。
その昔、リジュを倒して閻魔大王になろうとしたあいつが、武力行使の手段として用いた武器の、その一つ『アルテミスの弓』
「狩猟と貞潔の女神。世界でも類をみない程の、いわゆる最高神レベルの存在です」
なにアイツ……そんな凄い奴から武器パクッたの? バカでしょ。
「その人、日本の漫画が大好きなんです! おかげで漫画を司る神たる私にも友好的に接してくれていたんですが、日本に寄贈してくれていた武器を下っ端天使が……まぁこの辺りは関係ないですし割愛しましょう」
関係、バリバリあるんだが……。その辺は知れ渡っていないのか? 妙な話だ。というか外崎……あいつ……。自分の出世の為に日本の信用に傷つけるとか……マジでクレイジーだ。
「そのせいで若干気まずい感じになっていたんですが、とても優しい人なのできっと大丈夫! 漫画最高! クールジャパン最高! 言葉は通じないけど、漫画が好きというのはわかり合えるんです! きっと!」
「ほほう」
あまりの熱弁に若干納得しそうにもなるが、なんだその根性論。つーことは問題があった後特になんの処理もせず、いきなり出向いて、いきなり協力を頼むってことだよな? なにをもってそんなに自信があるんだ誌記さん。
それを殆どそのまま伝えると、
「ふっふっふ~。人間風情には考えられない程の秘策があるのです」
「そうか、さっさと話せ」
「んも~欲しがり屋さん♡」
「さっさと「はいはいはいはいこれですよ」
焦りが怒りに変換されそうになった瞬間、誌記はかつてと同じ動作を、誇らしげに行なった。
「来週発売されるジャンプの、最新刊の、フラゲです」
「…………お前……」
「ちょ、違う違う! 怒るところ違う! 褒めるところ!」
「そんなんで最高神レベルの存在が懐柔されるわけねーだろ!!?!??」
×
めっちゃくちゃ喜んでもらえた。
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