第19話・間違ってる側が『折れてやった』感を出すんじゃねぇ!

 神共はどうやらかなり慎重になったらしく、今のところ誌記以外に襲撃はない。

 そして厄介なことに、誌記こいつはよく遊びに来ていて、リジュの――たぶん一番の友達になっている。浮世に気に入られたり、なんだかんだでしたたかな奴だ。

 この平穏、襲撃の無さについて誌記に問うと、曰く、

『まぁ私みたいに倒せなくても特になんの問題も無い三流神ならいいでしょうけど、他の神様は基本プライド高いですからね。敗北とか許せないでしょうに。だから完璧に勝てる状況になるまでは襲ってこないでしょうね』

 とのこと。更には、

『私は漫画のように不意打ちで勝てたら神議会も浮世様も面白いリアクションしてくれるかもしれないなぁ、なんて考えで特攻しただけなんでね。あと暇だったんで』

 とのこと。

 暇してんじゃねぇよ漫画の神が。神の中でも一等忙しくあれよ……。

 まぁつまりどういうことかと言えば、今後襲来してやってくる神共はこのポンコツとは違い、キチンと対策を用意してくるというわけだ。強力な上に勝ちに来られると、かなり厄介だなと感じた。

 肝心のリジュは……女子高生ライフをエンジョイしてる感があるが。

「大丈夫っすよ。リジュたんなら並の神様にもひけをとりません。なんたってあの鼻毛真拳の使い手なんすから……」

「なぁお前やっぱり負けたこと根に持ってない? 普通そんなヒロインを貶めるような発言する?」

「ああ、えっと、ペガサス流星拳も使えるしねぇ。絶対主人公補正とかあるし」

「いや、そういういろんな意味で反則級の技はもう、今後一切封印だ」

 つうか相手がお前じゃなかったらあんなひどい戦いにはならなかったんだよ。外崎と戦った(?)時のように、なんか格好イイ感じになったはず。

「まぁそういう意見もあるでしょう」

「間違ってる側が『折れてやった』感を出すんじゃねぇ!」

「てゆーかはやくーご飯ー」

「絶対、天界? 神議会とやらに飯代要求してやるからな……」

 と言いつつ、最近はこいつの分までしっかり料理を作っている自分が恥ずかしい。

 だってさ、なんだかんだ言ってもリジュの初めて(おそらく)地球でできた友達だぞ? なんか誌記こいつと一緒にいて楽しそうだし……邪険にしすぎるわけにはいかない。

「ただいまー」

 そうこうしているうちに玄関から声が。

「リジュたーーーん!」

 と、飛んでいった誌記。

 そのうちにできあがった料理をテーブルに並べていく。

 我ながらいい出来だしナイスタイミングだ。

「ただいまトーコちゃん。ん、もう食べてたんだ?」

「あっいや、まだだけd「いやー私はリジュたんを待とうって言ってんだけどねぇ、彼女がどうしても我慢できない、と」

「心底申し訳なさそうに嘘を吐くんじゃねぇ」

 とんでもない演技力をもってらっしゃる。

「私もそこの瓶底眼鏡もまだだよ。一緒に食べよう」

「うんっ!」

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