第26話 メタダンジョン


 ある晩、俺は居住区画のテーブルで考え込んでいた。

 その場にはもアンジェもいた。

 まあ、ギルティアたちへの対策会議といったところだ。


「アンジェ。今からあいつらの情報をまとめるぞ。その後、ダンジョンの構想を練る」


「うん。そうだね。私も協力するよ」


「まず、ギルティアは前衛職の《狂戦士》だったな」


 狂戦士――強力な戦闘スキル《鬼人化》を使ってくる恐ろしい相手だ。

 鬼人状態にあれば、通常の2.5倍の速さと攻撃力を得ることができる。

 そこに勇者としてのパワーも加われば……。

 非常に恐ろしいことになるな。


「一番気をつけなきゃならないのは勇者であるギルティアだね……。それに、あいつはユノンくんを殺した張本人だもん……!」


「ああ、そうだな。俺には考えがあるんだ」


 鬼人化は、恐ろしいスキルだが、強力な分、デメリットも大きい。

 一度使うと虚脱状態になり、しばらく動けなくなる。

 それに、スタミナや筋肉の消費も大きい。

 つまり、短期決戦型なんだ。


「だから俺は、長期戦に持ち込む! ギルティアをダンジョン内でなるべく消耗させるんだ。そうすれば、かなり倒しやすくなる」


「なるほどね……!」


「次はレイラだ。レイラは《テイマー》だったな」


「そうだね……。あんまり動物がなついてるとこ見たことないけど……」


 だがレイラは《神調教師》の上級職を手に入れてる。

 どんな強力な魔物を連れてきてもおかしくないだろう。

 さらに、俺のダンジョンのモンスターたちすら奪われるかもしれない。


「レイラには混乱、誘惑系の状態異常が有効だろう。どんな強力なモンスターを従えていても、コントロールを奪えばいい」


「なるほど、さすがユノンだね」


「まあな。最後はエルーナだ。こいつも厄介だな。《大賢者》……こいつをどう攻略するかだな……。間に合えばいいが……」


 大賢者は、どんな魔法でも使ってくるヤバい上級職だ。

 だが、ひとつだけ弱点がある。


 そう――MP切れだ。


 俺はそのために必要なダンジョン設備を、既に思いついていた。

 そして、イストワーリアに研究させているものこそが、それだ。


「リアちゃん……今日も頑張ってたね」


「ああ、そうだな……。アイツには全部終わった後、とびきりの感謝を伝えなきゃな」


 それにしても、勇者パーティーヤバすぎるだろ……。

 俺は……こんなバケモノどもを駆逐できるのか!?


 いや、するしかないよなぁ……!

 だって、俺の幼馴染であり、憎き復讐相手なんだから。


「待っていろ……。俺が、駆逐してやるッ!!!!」

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