第38話
私はそう言われ、宿舎に帰った。
夕飯を食べに行き、早めにお風呂に入った。
特に課題もないのでとりあえず給湯室に行き、カモミールティーを淹れた。クレアと他愛無い話をした。一日で本当にたくさんの人と喋ったので疲れてしまった私は、カモミールティーのおかげか、すぐに寝てしまった。
次の日、サロンについて気になった私は天音先輩にメッセージを送った。
すると「金曜日にサロンで真緒を紹介しなければいけなかったからぜひいらしてちょうだい」とあった。
サロンがどこで行われるのか聞いていなかったので質問すると、宿舎でやると伝えられた。迎えに行くわとも言われた。
金曜日の朝、私はそわそわしていた。もちろんサロンのことでだ。それに天音先輩は初花は大抵レクの後に選ばれると言っていた。もしかしたら私の知らない所で他の六花の初花がもう決まっているのかもしれないと思った。
昼休みに天音先輩から連絡があり、放課後に教室に迎えに行くから待っていてほしいとのことだった。HR《ホームルーム》が終わり、クレアや美亜と別れ、5分くらい待っていると天音先輩が来た。
「遅くなっちゃってごめんね~。HRが少し長引いちゃって。」
「いえ、全然大丈夫です!」
「そう?じゃあサロンに行きましょうか。」
「はい!」私達は校舎を出て宿舎に向かった。
「サロンって具体的に何をするんですか?」
「簡単に言ってしまうと、各六花の親衛隊の方々と楽しくお話する会よ。」
「じゃあ天音先輩のことを慕っている方々が来られるんですね。」
「私だけじゃないわ。真琴さんを慕っている方々もいらっしゃるわ。いずれは真緒を慕う方々も来られるでしょう。」
「慕われるような人になれるでしょうか。」私なんかが。
「いいのよ。そう思うことであなたはより魅力的な人間になるわ。」
天音先輩のいう事は分かるようで分からなかった。宿舎のエレベーターに乗り、サロンに向かう。
「ここよ。」そう言って天音先輩が立ち止まった。目の前には金木犀が描かれたステンドグラスの扉があった。
「すごいステンドグラスですね。」
「ええ、六花のサロンの扉はサロンの主人の花が扉に描かれているの。」そう言って天音先輩はドアを開けた。部屋の中には既に1クラス分ちょっとくらいの人数の女生徒たちがおり、一斉にこちらを向いた。女生徒たちは誰かをかこんでソファに腰かけていたようだった。
「おー!天音!真緒ちゃん!遅かったね~私を差し置いて仲良くしちゃって~妬けちゃうなあ。」輪の中心にいた泉先輩が話した後に女生徒が一斉に挨拶をした。
「「「ごきげんよう。」」」正直なところ、一般家庭で育った私にとって「ごきげんよう」なんて漫画の中でしか見たことのないものだったので、驚いた。
「ごきげんよう皆さん。真緒さんが初めてのサロンでしたので教室まで迎えに行っただけですよ。」私はなんとなくお辞儀をした。それから女生徒がかこんでいた泉先輩のソファの隣へ行き、座った。
「まず金木犀の初花となった真緒をご紹介いたしましょう。」天音先輩はそう言ってあたりを見まわした。女生徒たちが静かになった。
「彼女は
「花影真緒です。この度は金木犀の初花に選んでいただきとても嬉しく思います。学院の為に精一杯頑張りたいと思います。至らない点もあるかと思いますが、よろしくお願いします。」私は最後にぺこりとお辞儀をした。
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