第24話
「ワルツと言っても、難しいものではありません。花神が皆さんをリードしますし、本当に簡単なステップだけです。」他の六花の方がこう言った。
「今、隣にいる人とワルツの練習をします。」
私はちらりと横を見た。クレアもこちらを向いていた。お互いに微笑み、前を向く。
「ワルツはゆったりとした3拍子と滑るような優雅な動きが特長です。初めにお手本として私たちが踊ります。」六花の方々がペアになり、音楽が流れ始めた。天音先輩は先輩よりも少し背の低い六花の方の前に立った。なめらかにワルツが始まる。くるくると踊りながら3組は移動していた。お互いの手と肩に触れ、鏡のように踊っていた。少しして音楽が止んだ。六花の内の一人が真ん中に出た。
「まず、一人でステップだけ練習しましょう。まず、後ろに左足を引きます。そのまま体を半分ほど右側に向け、そのまま横に右足を出します。そして左足を右足に揃えます。次に、この反対の動きをします。これで1セットです。では、私の手拍子に合わせてゆっくりステップを踏んでみてください。」
「いきますよー3.2.1はい!」ステージ上でステップを踏んでいる六花の方々を見ながら見よう見まねで踊る。
「いい調子です!はい!揃えて〜!」
滑るように足を出すのはかなり難しかった。みんなはどんな感じかなと思ってちらりと見ると、クレアと聖蘭はとても優雅なステップを踏んでいた。ほかにも初心者ではなさそうな生徒がちらほら見えた。そうか、やっぱりここはお嬢様学校なんだなあと思った。
「皆さんとてもお上手です!では次に実際にペアで踊ってみましょう!では、隣のペアの方と向き合ってください。皆さんから見て、右側にいる方は左手を、左側にいる方は右手をつないでください。右側の方は相手の肩甲骨を、左側にいる方はひじをあげたまま相手の腕に手を添えてください。体は、左側の方が左側に少しだけずれてください。お互いの体半分は重なるように…そうです。このような形になれば大丈夫です。」そう言って、他の六花の方とポーズをとった。少し背を反らせ、お腹をお互いに密着させている。
「真緒」はっとして隣を見た。どうやらさっきまで繋いでいた手を離してしまったらしい。クレアの方が背が高いし、ワルツの経験があるようなのでリードしてもらうことにした。
クレアの左手に私の右手を重ねる。クレアが私の背中に触れる。なんだかくすぐったく感じる。そして私もクレアの細腕にそっと触れた。思っていたより柔らかかった。
音楽がかかる。3.2.1はい!のかけ声で一斉に踊り出す。正しくステップが踏めているかわからない。クレアが出す足にぶつからないように足を動かしている。必死についていくのみだ。あたふたしている内に音楽は止まっていた。
「皆さんとても良かったです!ウェルカムパーティーの為のワルツの練習はこれで終わりです。それでは椿館の皆さんは先に昼食をとってからシャワーを。梅花棟の皆さんは先にシャワーを浴びてから昼食をとるようにしてください。そうしたら制服に着替えて12時半から13時までには再びここに集まってください。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました。」示し合わせてないのに、みんなそう言ってお辞儀をした。時計を見るともうすぐ11時だった。
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