第19話
寮の前にある噴水が、下からライトアップされていた。ライトアップしているなんて知らなかった。白とクリーム色のちょうど真ん中の色の噴水だ。
「すごい!暗い時間ってライトアップされてるんだね!」
「ね!ほんとに綺麗!」
「昨日とはまた違った雰囲気ね。」
聖蘭も頷いた。
「そうだ!どこ行く?!一応昨日もらったマップ持ってきたけど……。」美亜がマップを見せながら言った。
「とりあえず昨日通ったクリーム色のコンクリートの道を行くのは?それでぐるっと一周したらいいと思う。」
「そうね、真緒が迷子にならないようにわかっている道から行きましょうか。」
「そうだね!はぐれちゃったら大変だし!」
「もう!そんなに方向音痴じゃないもん!」みんな思わず吹き出してしまった。
そういうわけで、学院の門から寮まで歩いた道を行くことにした。道の両端にたくさん木が生えていて、まだまだ暗かった。両端に茶色のレンガが埋められているのがかろうじて見えるぐらいだった。寮から少し離れるとすぐに、道が2つに分かれていた。
「あれ?昨日こんな道だったっけ?」
昨日は少し細い小道から今の道幅のところに一直線だったはず。
「ほら、この地図にあるように、この道をずっと行けば…どこに着くんだろ?」地図を持った美亜が首を傾げた。地図を見ると、施設の名前が書いてなかった。
「なぜでしょう?施設があることは書いてあるのに……。それにほかの施設はちゃんと名前が書かれているのに。」聖蘭は黙ったままだった。顔がなんとなく焦ったような顔をしていた。
私は気づいた。この施設はもしかして、今日のウェルカムパーティーをする場所なんじゃないだろうか。きっと施設の名前がパーティーを連想させるようなものなんだ。だとしたら行ってしまったら行けない気がする。
「じゃあ怖いから行くのやめておこう?他は書いてあるのにそこだけないっていうのもなんか不気味だし……。もし、生徒立ち入り禁止とかで怒られたら嫌だ…!私、それよりも植物園に行ってみたい!」
「うん。私もそう思う。ただでさえあまり生徒が外に出ないような時間に遊びに出てるわけだから。」と聖蘭が賛成してくれた。やっぱり聖蘭は知ってるのかも。
「そうね。じゃあそうしましょ。」
「そだね〜」よかった。そして昨日通った方の小道へ歩き出した。
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