第13話

「やっぱりこの温度差だよね!」と美亜が言った。

「そうだね〜空気の冷たさとお湯の温かさが何とも言えないよね〜。」みんなでまったりした。

「今何分かしら。真緒は時間大丈夫?」と聞かれ、室内にある時計を確認しに行くともう40分だった。再び露天風呂の方に行き3人にこう言った。

「40分だったから先に上がって行くね!」

「わかった〜。」という声を背中で聞きながら浴室を出た。脱衣所に戻ると、来た時よりも生徒が増えていた。私はいそいそと服を着た。先輩と会うのにパジャマで行くのは気が引けたので普通の洋服を着たが、まるでまだお風呂に入ってない人みたいになってしまった。そして髪を乾かした。3人はみんなロングヘアだから乾かすの大変だろうなと思いながら乾かした。中学校の部則が全員ベリーショートだったので部活を引退してから伸ばした。そのため私はやっとショートボブになったのだった。周りには各々自分のスキンケアグッズを持ってきてスキンケアをしている生徒がいた。保湿剤は全て部屋に置いてきてしまったな、今度から持ってこようと思った。スマホを見ると50分になっていたのでドライヤーを置いて脱衣所を出た。5階まで階段で行くのは疲れるし時間がかかるなと思い、中央階段の脇にあるエレベーターに乗った。5階に着き、談話室に55分に着いた。2階とは少しデザインの違うソファに座って、ふぅと息をついた。途中で荷物を置きに部屋に帰らなかったのは正解だった。もし帰っていたら約束の時間に遅れるどころか、迷子になって部屋にもつけないかもしれなかったなと思った。体が火照っていて、ぼーっとしながら、この階には六花や優秀な生徒がたくさんいるんだなと思った。そして中央階段から登ってきて、私の少し前を通り過ぎる先輩達を見ていた。ふいにふわりと金木犀の香りがした。

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