第12話

部屋の鍵を開けると美亜と聖蘭がいた。

「あれ?来てたんだ!?」

「うん。紅茶のティーパックが部屋にあったから、みんなで一緒に飲もうって真緒のこと待ってた〜!」まるでホテルの様に、ダージリンとアールグレイが置いてあったのだ。

「それにそろそろ夕ご飯の時間かなって思って。」

「そっか、もうそんな時間なんだ!

また迷子になっちゃってさ〜遅くなっちゃった!」

「大丈夫よ。」

「じゃあ食堂に行きますか!紅茶は寝る前に飲もう!」聖蘭達も静かにうなづいた。

「そうだね、行こっか!」部屋を出て食堂へ向かった。食堂の時計はもうすぐ19時だった。お昼の時よりも人が少なかったけど、先輩達がいて空いているというわけではなかった。お昼の時は1年生を同時に食べさせるために1種類のみの提供だったけれど、通常は2種類あるそうで、私と美亜がBセット、クレアと聖蘭はAセットにしていた。食費は生活費の中に組み込まれているため、どっちのセットか聞かれた時に、答えるだけでいいそうだ。飲み物とお米は自分で持ってくる形式だった。パンや麺類のセットの時でも食べたければお米も食べていいらしかった。お昼ご飯の時は飲み物の存在に気がつかず、持っていかなかったので初めて飲み物のところに行った。水、お湯、フレーバーウォーター、オレンジ、リンゴなどがあった。種類の多さに驚いた。食堂というよりレストランの方が近いのではないかと思った。フレーバーティーを飲んだらすごく美味しかった。この間ホテルのビュッフェで飲んだものと似ているなと思った。テーブルもイスもおしゃれだし、やっぱりこの学院は普通じゃないんだろうなと思った。お嬢様がそれまでの生活とほとんど変わりなく過ごせるようになっているんだろうなと思った。つまりファミレスにも行くような私からすればもちろん豪華な訳で。セットも2択しかないと言いつつ、かなり豪華だった。普通、学食でローストビーフってでるのかな、でるのが普通なのかな私の方が普通じゃないのかなと思ってしまった。夕食を食べ終えた私達は部屋に戻った。もうすぐ20時だった。約束の時間まで後1時間しかない。みんなに説明して、部屋に戻ってすぐにお風呂へ向かった。すごく広い脱衣所に驚きつつ、浴室に入った。シャワーの数は温泉より多く、もう少し配置が違ったら銭湯みたいな印象を受けたかもしれないと思った。シャンプーなどは備え付けを使うことになっていた。どんな匂いかなと思って鼻を近づけても何も匂わなかった。このシャンプー匂いする?と聞いたら、ボトルの部分に無臭シャンプーって書いてあるわよと言われた。そう言われてからボトルを見ると、さっきまで全く目に入らなかったのに、真ん中に無臭シャンプーと書いてあった。馬鹿がバレてしまってちょっと恥ずかしかった。かなり広い浴槽だった。入り口ではないところから人が出て行ったのでついていくと、なんと露天風呂があった。室内よりも狭いけれどそれでも6〜8人くらいは余裕で入れそうだった。私達はさらに盛り上がり、肌寒い空気を頬に感じながら身体を温めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る