第10話
給湯室に入ると、既にお湯を沸かしに来ていた生徒が2人いた。給湯室と言ってもドアがないため「室」ではない気がした。IHヒーターが2口とシンク、食器乾燥用の籠、電子レンジがあった。そして棚の上にたくさんの種類の紅茶の茶葉がお洒落な瓶に詰められ、並べてあった。さらにその隣にティーポットがいくつも並んでいた。まるでファミレスのお茶だけのドリンクバーみたいだった。私と同じくらいの身長の子と、私よりも背の低い子は一緒に来たようだった。
部屋にある保温ポットを持ったままうろうろしていた。
「あの、大丈夫?」と私が声をかけると、
「お湯の沸かし方が分からなくて……。」と申し訳なさそうに言われた。ぱっと見普通のIHヒーターがあった。ただし、やかんが見当たらない。
「やかんが見当たらないね。」上に戸棚があったので開けてみるとやかんがいくつか入っていた。2つ取り出した。
「あった!はい、1つどうぞ。」
「ありがとう。ございます。」隣の蛇口からやかんに水を入れて軽く内側を洗ってからやかんに水を入れた。私が加熱し始めると後を追うように彼女達も加熱し始めた。沸騰するまで何を話したらいいのか考えていたら
「あの、お名前教えてください。」と背の高い方の子に言われた。
「あ、まだ言ってなかったね、花影 真緒です。」
「真緒さんて言うんですね。私の名前は宮之本
「素敵な名前!よろしくね蘭々ちゃん!」まるで歌っているような名前だなと思った。
「えっと、私は佐野
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