7 イケメンなのに婚活惨敗

 婚活パーティーの結果は、惨敗だったらしいです。会場で何があったのかわからないけれど、司は全然女性たちに相手にされなかったというのです。


 夜、帰宅するなり司はリビングのテーブルに突っ伏し、

「やっぱり俺は非モテなんだ、ブサイクなんだ」と嘆いています。イケメンすぎて誰? って感じなのにブサイクって言われましても。

「うーん。見た目はかなりイケメンになったと思うんだけどなあ」

 もともと司は顔立ちは悪くないのです。もっさりとしたアキバ系のファッションと髪型を変えれば、普通にモテル部類に入ると思います。それで惨敗ということは、確実に「外見以外」に問題があるということなんでしょうね。本人は外見のせいにしたいみたいだけれど。

「なにか失礼なこととか言った?」

「言ってない。言うわけがない」

 自信満々に言い切るあたり、逆に怖くなってきます。無自覚にやらかしてそう。

「褒めたりとかした? 無愛想にしてたんじゃない?」

「ちゃんと褒めた。婚活だぞ、俺だってそれぐらいわかっている。リップサービスってやつだ」

「そ、それで、どんなふうに褒めたの?」

 司が女性を褒めるだなんて想像もつきません。

「頭がタニシみたいですねって褒めた」

 私は遠い目をしてしまいます……。その女性、きっと髪をアップにして、気合いを入れてきたんだろうな。それなのに田んぼにいる貝にたとえられてしまうなんて悲しい。

「……ああ……そう……。ほかには」

「えっと、強そうですねって褒めた。あと潔癖そうとか、完璧主義っぽいとか言ったと思う」

 私は思わず頭を抱えてしまいました。

「もうちょっと相手の気持ち考えよう? 相手が言われて喜ぶことを言わないと、褒めたことにならないよ」

 司はむっとした顔をしました。

「これでも俺は褒めたつもりだ!」

 はあ……。これは思ったより長期戦になりそうです。正直なところ、私には荷が重い気がしてきました。

 これはもうプロのアドバイスが必要なのでは……と思ったので、婚活アドバイスの本を何冊かネットで注文して、司に押しつけました。

「これでも読んで勉強して!」



<つづく>

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