第5話 中国戦線
〜???・円卓会議場〜
7人の覆面の騎士が座っている。
「・・・彼らははしゃぎすぎましたね。
どうやら日本は対中戦に力を入れるとのことです。我々円卓からも何人か出しましょう。」
「それは早急過ぎる。ここは
中国最期の武闘家、李鴻章に任せよう。」
「李鴻章ですか。彼は今は3代目ですかね?
でしたら一度戦ったことがあります。
彼ならピクシーの羽を引き裂けますよ。」
「ならば彼にはそれ相応の支援をする必要があるな。」
〜中国・旅順〜
旅順は古くは日本がまだソ連がロシアだった頃に戦争で奪い取ったところだ。
現在は日本とソ連の共用基地となっており、
対中戦線の足がかりとなっている。
ピクシー隊と第21航空妖精隊は
旅順航空基地に到着した。
「初めて21隊と一緒に作戦を行いますね。
今回はよろしくお願いします。」
「そう緊張しなくていいですよ。
あ、私の名前を言うのを忘れていましたね!
私は、河田純大尉です。よろしく。」
「私は霧島中尉です。この間まで少尉でした。けど何の前触れもなく急に中尉になったんですよ。・・・なんかおかしくないですか?」
「霧島さん、他言無用願いたい。
中国戦線は少しずつ明らかに負けている。
向こうのエースが破竹の勢いで殲滅しているらしい。それで我々の部隊は量産機揃いで
勝てない。そしてやられる。この繰り返し
らしい。」
それは初耳だった。だって日本を旅立つ前に
調査をしたときにはそんな情報が無かったからだ。現地の索敵機からの情報も
勝っては負けての膠着状態だったとの報告ばかりだったのだ。
「そう、だったんですか。わかりました。
このことは誰にも言いません。」
そう約束した。
〜北京郊外〜
「クソ、クソ、クソ!何だあいつは!
早いぞぉ!うわぁ!」
「こちらファルコン2、隊長がやられた!
敵のエースパイロットだ!ここでやらなきゃ
北京の地上車両が全滅されるぞ!」
『了解!各機、時間を稼げ!ピクシーと21隊が来るまでの辛抱だ!』
「ほう!何とも見苦しい足掻きだ!
まるで誰かを待っているような感じだな。
まぁいい、すぐにあの世に行ってもらいますからねぇ!」
その中国人は大型の妖精を使っていた。
デカデカと肩に『飛竜』と書いてあり
スカートアーマーにも08とある。
その機体の名は
飛竜8号
中華人民共和国が初めて自ら製作した
飛竜1号 人型汎用機動兵器 の大型化と
各種出力、武装面での強化を図った機体でその結果、大型化しつつ機動力を2.1倍上げる
ことに成功したのだ。
武装は 二連装ロング・バズーカを2丁
腕部100ミリ速射式独立稼働型連装砲、
右肩部200ミリレール・キャノン、
左肩部3連装ロケット砲
大型妖精用青龍刀
となっておりかなりの重装備だ。
しかし背部には大型のブースターと翼があり、飛行機のような軌道もできる。
しかしこの機体はクセが強すぎたのとコストの高騰化によりエースパイロット用となったのだ。
〜北京上空〜
「うーむ、だいぶ地上はやられていますね。早く降下したほうがいいですね。」
「それは早過ぎるよ、中尉。あれは誘ってるようにしか思えない。更に彼らは全滅こそ免れているし、首都の門まで後退はしているがそこを死守している。だから中国軍の
後ろを取るってわけだよ。」
そしてその5分後、敵の真後ろを高高度で
抵抗なしで取ることができた。
「よし、ピクシー隊は21隊の支援のもと
急降下しつつ友軍を援護。21隊は空中から
掩護狙撃しつつ適宜降下してくれ!」
『こちら河田、了解した。21隊はそちらの
指示に従う。』
「感謝する!全機急降下!友軍を援護し、
敵エースを狩る!」
ピクシー隊は獲物を見つけた鷹のように
中国軍に襲いかかる。
それを21隊が道を切り開くように
立て続けに射撃をして進路を確保する。
どちらも練度が高くなければできない技だ。予想外の後方の上空からの急降下に慌てふためいているようだ。1人を除いて・・・
「奇襲か!面白いじゃないか。
けど詰めが甘過ぎるんじゃないかぁ!」
バズーカ、連装砲、レール・キャノン、
ミサイルの射撃武装全てを使用し、単騎で
弾幕を張る。それに僚機が体制を立て直し、さらに火線を増やす。
しかし、それをピクシーは真正面から
突っ込んでくるのだ。
「な、なんだよ!この弾幕を避けずに突っ込んでくるなんて!ありえねぇ!」
そして、その弾幕をすり抜け妖精同士が
すれ違った直後、僚機が4機同時に爆散した。
「くっ、あの一瞬で撃破したのか!
おそらく指揮官機は・・・あれか!」
霧島機を李鴻章は見つけた。
それもそのはず、霧島機は頭部に
他の機体とは違うボックスタイプの
複合型多目的センサーを搭載していたからだ。
「あいつだけでも殺してしまえば後は
ウサギを狩るより簡単な仕事だ!」
弾切れとなった射撃武装全てを棄て青龍刀に持ち替えつつ接近する。
飛竜8号のメインカメラが緑色から赤色に
変わっていた。
『E mode standby----start up finish』
飛竜8号のコックピットがそれを告げていた。
機動力が明らかに常軌を逸していた、
しかし李鴻章はそれを黙認していた。
どうせ数の暴力で殺される。なら全ての力を出し切る。その考えに何故か霧島機も
E modeが発動した。まるで操り糸に動かされるように。
「なっ!E modeが自動で発動したのか!
くっ!機体の操縦が受け付けない!
しかし、装甲排除が何故されない?
それに何だ?この背部の表示は?」
霧島機のコックピット内のメインモニターにはE modeとはっきり書かれていたが
機体の状況を見ると装甲排除がされておらず背部スラスターユニットが特殊な形に
変形していた。それは翼のような形だった。
その直後に機体の操縦が元に戻った。
しかし、飛竜8号が目前まで迫っていた。
思考するより早くE modeが自動で
迎撃システムを構築し、腰のスカートアーマーから隠し腕に装備しているレーザートーチで青龍刀を受ける。
そして右手の機関銃でゼロ距離射撃をする。
しかしそこにはもう飛竜8号はおらず
95式の真上に居た。そして蹴りを入れる。
蹴りを受け地上へと落下していく。
落下ダメージを軽減するためスラスターを
最大限まで吹かす。それでも相殺しきれず
地面に激しく打ち付けられた格好となった。
そしてシステムダウンし、95式は動かなくなった。その後、体の左半分を貫くような鉄の感触を一瞬感じたのち意識が途切れた。
Fairy Wars〜死地に舞う妖精、駆ける円卓の騎士〜 @mijinkoboru
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